インスタントな夢

私は(他人に比べてどうかはわかりませんが)よく夢を見ます。未来志向な話ではなく、寝るときに見る夢の方です。
大体一度眠ると一本夢を見る感じです。夢の内容は多岐にわたりますが、割とリアルなものが多いです。空を飛ぶようなファンタジーな夢ではありません。

私の場合、電車に乗っているときに寝ることが多いです。(ここで「電車」と書いてしまうと気動車に載ってるときはどうだという話が噴出しますが、スルーします。)電車に乗っているときというのは、場合にもよりますが熟睡できないことが多いです。1時間くらい乗る場合はゆっくり寝られますが、基本的には30分程度の移動、もしくは途中駅から座った結果、寝る時間はあまりない、という場合があります。
そんなときの睡眠というのは、基本的に浅くなります。まあ寝入ってしまうと寝過ごす羽目になるので、浅くならざるを得ません。そんな中見る夢を、私は「インスタントな夢」と呼ぶことにしました。

インスタントな夢の特徴がいくつかあります。

①記憶の混同が見られる
記憶が混乱します。まず眠りが浅いので夢か現実かがわかりません。まあ夢を見ている間に夢か現実かを気にするケースはここではまれです。
また、謎の既成事実が作られます。やったことがないことを「やったことがある」と勝手に思ったり、行ったことのない場所に「行ったことがある」と勝手に思ったりします。この時、「いつ」や「何回」などなぜか精密な記憶が得られる場合もあります。
大体目が覚めるときに「そんな記憶がなかった」ということを認識します。あと「夢であった」と認識するのもこのタイミングです。
さらに言えば、ありえないこと、というのもここに含まれます。これはちゃんと寝ているときにも起きうる話ですが、高校の校舎に小学校の同級生がいたり、高校の校舎と小学校の校舎がつながっていたり、祖父母の家に同級生がいたりします。無茶苦茶な要素の繋がりは、夢の醍醐味の一つです。

②周りの音が聞こえている
聞こえています。大方電車なので電車の振動音などの環境音、周りの人の話し声も聞こえていることがあります。周りの人に声をかけられるとすぐに目が覚めますが、寝ぼけている上に、①で触れた認識の齟齬の修復作業を行っているので、まともな応対はあまりできません。

③夢の内容を覚えていない
覚えていません。起きた時の齟齬修復中に見た内容を反芻しますが、その後人と話す、移動する、ほかのことを考えるなどのイベントを経てすぐに忘れます。ただ環状レベルでは覚えているので、違和感や絶望感、高揚感が残る場合があります。
③はインスタントではない夢にも通用する話です。起きた後にどんよりとした絶望感や夢の中の絶望から逃れられた安堵感を得ます。

以上のように、夢というのは不思議なもので、またなかなか楽しいものです。私が眠るのは、見る夢の内容を楽しみにしているからかもしれません。

読んでいただきありがとうございました。