薬学という、複雑で混沌で、それでいて愛すべき学問について。

はじめに

私は、薬学部という学部に所属しています。

薬学部は、ご承知の通り薬学という学問を学ぶ場所で、自分は色々と策略があって薬学部に入ったわけですが、最近になって、薬学というのはやはりごちゃごちゃしていて、でもそれが素晴らしい学問なのだな、と思うようになりました。

一方で、この感覚がどれだけ他の人と、特に薬学部の外の人と共有できているか、というのは未知数であり、少なくとも薬学に興味がない人が一定数いることもまた理解しています。特に薬学に振り向いてくれる必要はないのかもしれませんが、ただ、自分の感じた薬学の「ありのまま」を明文化しておく、というのは、意義ある試みであるか、あるいは愉快な試みであろうと考え、この文を執筆している次第であります。

 

と、仰々しい大義名分を並べ立てたところで、もう少し個人的な動機について書き連ねておきましょう。

1.薬学を通して、自分の好きなものを理解する

表題の通り、私は薬学という学問がそれなりに好きなわけですが、これには自分が薬学というものをどのように捉えているか、という要素が少なからず絡んでくるはずです。そのために、「何故薬学が好きなのか」を理解するためには、「薬学をどのように捉えているか」を議論する必要があると感じました。

本稿では、薬学についての認識を整理した上で、自分が何故この学問を好いているのか、という点について取り上げます。

2.薬学を通して、自分の(暫定的)科学観を整理する

詳しくは後述しますが、薬学というのは結構色々な学問分野が含まれていて、それについて分析したら科学に対する見方を表明することにならないだろうか、という試みです。自分が科学を好きかどうかは定かではないですが、もしそうであれば1=2かもしれません。

こういう解釈もあるよ、という紹介程度にご覧いただければと思います。

3.薬学に対する幻想を遺しておく

私はまだ学生の身ですから、薬学に対する視点には大いなる誤解が含まれています。そもそも、個人の感想とも言えるこの視点に対して、客観的な価値を付随させることは不可能です。そのため、ここに挙げた内容には「幻想」とも言える事項が含まれていることでしょう。しかし、幻想を残しておくということもまた自分にとっては意義あることです。

薬学という、それなりに社会との接点を持つ学問をしている以上、そこに多かれ少なかれ責任が付随するのは当然のことです。まだ学生身分であることからある程度の免責があるわけですが、今後歳を重ねるに従って、その要請は荷重を増していくことでしょう。その責任を背負うかどうかは個人に委ねられるものであり、また自分がどれほどその責を負うことになる/負おうとするかは現状不明瞭ですが、とりあえずそういうことにしておきましょう。

ここに遺すのは、そのような立場に立った時には表明できないかもしれない「夢」のようなものです。もちろん、責任ある立場に立った時にその「夢」を実現できる可能性もありますが、突拍子もないような、あるいは現実味に欠けるような、あるいは抽象的な事象をあげつらって悦んでいられるのは恐らく今だけです。

そのため、描かれているそれは自分の「薬学の理想像」と読んでいただいても差し支えありません。むしろそれが自分の望む視点かもしれません。全部が全部鵜呑みにできるものではない、ということは言い添えておきます。

 

ここまでお読みいただけていればわかるように、この文は非常に冗長で、かつ個人的なものになる予定です。説明に関してはできるだけ平易になるよう心がけますが、外部の方が読んで愉快なものになるかは正直分かりません。おもろいな、と思ったら最後まで読んでいただけると幸いです。

 

1.薬学部のシステムについて

1.1. 薬学部の概要

薬学について扱う前に、アカデミア薬学の中枢たる、薬学部について少し説明します。

「薬学部です」と言って返ってくる反応として多いのが、「薬剤師になるんですか/ね」というものです。恐らく、特に薬学部に興味がない人にとって、薬学部とは薬剤師を育成する学部であると思います。

しかしながら、必ずしもそうと言うわけではありません。具体的には、薬学部は二つの学科に分かれています。それが下の二つです。

  • 薬学科(6年制・主に薬剤師になるための勉強をする)
  • 薬科学科(4年制・主に創薬研究をする)

基本的に、薬剤師になるためには薬学科に行く必要があります*1。ただ、二つの学科にはこの話だけでは括れないもう少し本質的な違いがあるので、まず二学科の相違について次節から扱うことにします。

1.2. 薬学科

薬学科は、学部課程6年+薬学博士課程4年で構成される学科です。

大学によってはこの学科しか設置されていないところもあり、いわゆるイメージ通りの「薬学部」、すなわち薬剤師を育成する学部ということになります。薬剤師、というのは医療従事者で、それなりに数がいないと困るので*2、薬学科しか設置されていないところも諸々ある、という解釈であると思います。

大学の機関であることから、研究活動も行われているのですが、その範囲は非常に多岐に渡ります。ここでは、「薬科学科」と対比する形でその内容を挙げてみましょう。

「薬学」という学問を俯瞰すると、「科学」でない領域がそれなりに存在します。公衆衛生や法整備、医療統計などがそれにあたります。いわゆる「社会学」なんかに分類されるものです。そもそも、薬剤師が行う「処方」という行為自体も、その根拠は科学に立脚しているにせよ、方法については「科学」に分類されない、という意味でそこに当てはまるのかもしれません。

先ほど、薬学のことを「社会との接点がある学問」と表現しましたが、その「社会との接点」部分を担っているのがこの学科とも言えるでしょう。言うなれば薬学の「外堀」です。当然、医療行為は社会的な行為ですから、そのシステムや現状を分析・整備することは非常に重要なことで、そう簡単に埋めてはいけない領域であることは言うまでもないでしょう。

1.3. 薬科学科

薬科学科は、学部課程4年+修士課程2年+博士課程3年で構成される学科です。

創薬科学科、と呼ばれることもあります。こちらの方が意味の通りが良いですね。「創薬」に関する「科学」について勉強・研究する学科です。「薬を作る学科」と言っても差し支えないでしょう。

しかし、その内実はとても複雑で、薬に関わる化学・生物・物理などの分野が幅広く、かつ横断的に扱われているのが特徴です。基礎から応用まで、すなわち薬に直接関わらないような内容を研究しているところもあり、一つの学科ですが振れ幅は一つの学部並みです。

薬はないと処方できないので、薬学界の根幹を支える学科ということができるでしょう。学部内外を問わず共同研究が盛んで、人体に関わる事象の発見や、問題の解決など様々な分野に手を伸ばしています。人体に係る化学物質繋がりで、化粧品なども薬科学の守備範囲です*3

まさに振れ幅最強学科と言えるかもしれません。

2.薬科学とは

さて、ここからは薬学について詳らかにしようと思います。

学科説明で軽く述べたように、薬学には「薬科学」と「薬科学でない部分」があり、今回はこの2つに分けて説明します。まずは、比較的掴みやすい薬科学から。

2.1. 総論

薬科学は「薬に関わる科学」であり、馴染み深い高校理科の4科目を用いると、主に化学と生物、そしてそれに付随する物理分野が含まれます*4

化学と生物についてはじっくり扱うことにして、物理についてここで軽く述べておきましょう。物理は、主に「見る」ために用いられます。具体的には、電子顕微鏡や蛍光顕微鏡などの顕微鏡関係、NMRなどの化学分析機器関係、そしてタンパク質結晶構造解析などの、解析方法の開拓・更新が研究されています。

また、薬学における分析手法として、統計学も用いられています。どちらかというと社会薬学の文脈で用いられるため、薬科学の領域に含まれることは少ないですが、科学の一分野として挙げておきます。

2.2. 化学と生物ー遍在性と階層性

さて、化学と生物について、どのような「構造」を持っているかを最初に述べたいと思います。

まず、薬学という文脈において重要なのは、「基礎研究」と「臨床」です。ここでは、このまま「基礎研究」と「応用」と読み替えてもらっても構いません。これを用いると、薬科学で扱う諸分野は、生物ー化学と基礎ー臨床という2軸に従って分類することができます。

当然各分野に関しても、軸を跨いで研究が行われることがザラです。例えば、免疫学は薬学における主要なトピックの一つですが、「免疫システムについて解明する」という意味では基礎研究よりですし、「解明した免疫システムを用いて薬を作る」という意味では臨床寄りととることもできます。また、免疫は生命科学的事象*5であるわけですが、免疫がどのように成立しているか、ということを考えるには化学的な視点が必要です。そのために、化学ー生物という軸も容易に飛び越えられるものである、ということも言えるはずでしょう。

 

ここでは、簡単にそれぞれのエクストリームな例を紹介したいと思います。

生物+臨床

臨床寄りの生物としては、「生理学」と「病理学」が二本柱になっています。薬学部ではあまり扱いませんが、ここに「解剖学」が加わることもあります。

「生理学」は主に健康な人の体内システムについて*6、「病理学」は主に病気の人の体内システムについて扱うもので、理論上この二つを合わせれば全ての人について網羅できるということです。

生物+基礎

基礎寄りの生物は、「細かいもの」と「抽象性が高いもの」の二つに分けることができます。

「細かいもの」としては、体内システムの一部を切り出して考える「免疫学」や「遺伝学」「発生学」などなどが挙げられます。これは先ほど述べたように、臨床寄りの志向を有する学問であると言えます。

「抽象性が高いもの」としては、いわゆる「生命科学」で、「分子生物学」などと呼ばれるものです。一般的な細胞の働きや、体内での活動について扱うのがこの分野だと言えます。

化学+臨床

ここは薬学における非常に特徴的な部分でしょう。「薬理学」「薬物動態学」「薬力学」などがここにあたります。

「薬理学」は薬がどのようなメカニズムで効くか、という内容であり、生物にも化学にも係る学問領域ですが、その内容には化学構造が非常に重要になるので、便宜的に化学ということにしましょう。

「薬物動態学」や「薬力学」は、薬がどの程度効くか、という内容です。化学反応の速度などを用いて、薬物を投与した際に体の中でどのような動きをするか、ということについて学びます。

化学+基礎

基本的には「有機化学」が扱われます。薬の多くは有機物であり、それを作るには有機化学の知識が必要不可欠だからです。また、人体も一種の有機物なので、上に挙げた「薬がどのようにして効くか」を考えるには有機化学的な視野が必要になります。

少し特殊な例としては「分析化学」と「放射化学」でしょうか。前者は化学物質をどのように「分析」するかを扱い、作った化合物を分析したり、薬物が適切に作成されているかを分析する、といった内容に寄与しています。後者は、放射線治療や、生命科学放射性同位体を用いた分析などに役立てられています。

 

以上の内容を図にまとめると下のようになります。もちろんこれらは薬科学で扱われる諸学問のうちの数例に過ぎず、薬学はもっと広く、細かく広がっています。

だいたいこんな感じ。

ところで、上の図を見ると

  • 生物は基礎が化学寄り/臨床が生物に振り切れている
  • 化学は臨床が生物寄り/基礎が化学に振り切れている

というトレンドが見えてくると思います。もちろんこれは恣意的に図を作っているわけですが、このトレンドが発生する裏側には、生物・化学という学問領域が持つそもそもの階層性が存在します。

基本的に、科学の諸学問において「完全に独立した領域」というのは存在しません。「大学に入ると、生物は化学に、化学は物理に、物理は数学に、数学は哲学になる」とはよく言ったものですが、実際これらの学問は、相互に持ちつ持たれつで成立しています*7。))。

科学全体の話をするとこれまた長く、煩雑になってしまうので、化学と生物の関係性だけ抜き出して考えましょう。ざっくりと、以下のようなことが言えるでしょうか。

  • 生物は分子でできているから、生物の作用について理解するには化学が必要
  • 逆に、化学を生命現象に応用するには、生物の観念が必要
  • 生物の中にも、化学では説明できない領域が存在する

前の二つについては、生物と化学との直接的な関係性に言及したものです。「生物」というのは、この世に存在する/したもののうち、「生きている」ものを扱う学問です。一方「化学」はより一般に、世の中に存在する物質について考証するものですから、この時点で化学→生物の具体化が見えるかと思います*8

我々人類を含め、生物とは化学物質の集合です。よって、生命現象について理解するためには、化学反応や化学的性質について理解する必要があるわけです。例えば、我々が物を食べ、それを消化し、体の中で栄養として利用する過程には、無数の化学反応が関係しており、それについて正しく理解するには、それぞれの「化学」反応について「化学的な」分析を加える必要があるということです。

逆に、薬などの形で化学を体に作用させたい場合は、生命科学の知識が必要となるわけです。生命は非常に複雑であり、その理論体系について整理しているものが生物学と言えるでしょうか。

なお、最後の点で述べたように、生物の中でも化学が直接は関係のない領域が存在します。例えば「生態学」、そして「進化学」です。これらは系がマクロであることと、化学物質による寄与ではないことから、あまり化学が立ち入ることはありません。しかし、生態学に出てくるフェロモンには化学の知識が応用されていたり、進化学について化学的に遺伝子を分析したりするなど、連関が全くないということもありません。

 

このようなトレンドを基に、もう一度上の図に立ち戻ってみましょう。

そもそも、化学は「基礎寄り」、生物は「臨床寄り」という学問領域であることから、化学における「臨床より=生物寄り」、生物における「基礎寄り=化学寄り」ということが理解できると思います。

また、「分子生物学」について、生命科学のうち「一般的なもの」と書きましたが、これは化学の知識を「あからさまに」用いているということです。名前に「分子」と入っているように、化学物質の動きとして生物の作用を一般的に捉える、といった内容を学ぶわけです。

「薬理学」や「薬物動態学」は、先ほど話した「化学を生物に適用する」領域です。薬が志向していることの根源はここであり、これは薬学が生物・化学を幅広く、深く扱っている理由でもあります。

一方で、「生理学」「病理学」という分野は、生態学ほどではないですがマクロな分野であり、そろそろ化学では手が届かなくなってきます。もちろん、生理的な作用・病理的な作用も化学反応によってもたらされますから、完全に無関係であるわけではありません。

有機化学」についても同様に、こちらは一般的であるあまりに、生物とは関係ない部分や、より基礎的な部分をも扱います。このうちの一部が生物に適用されて、様々な事象の理解や薬の製造に役立っているわけです。

 

以上が生物と化学についての概観であり、次節からはそれぞれについてもう少し深掘りしていくことにしましょう。

2.3. 薬学における化学

再三述べてきた通り、薬科学の中での化学は、専ら有機化学と言って差し支えありません。

化学の中には、炭素を含む化合物を扱う「有機化学」と、炭素を含まない化合物を扱う「無機化学」があるわけですが、生体内に存在する物質は、一部のイオンを除いてほとんどが有機化合物です。そのために、有機化学について学ぶことが重要になってきます。

反応と性質

化学、というと化学構造式や、華やかな化学反応を思い浮かべる方が多いでしょうが、化学には「反応」に加えて「性質」を知る、という重要な役目があります。

「反応」についてはこれまでに色々と書いてきたので良いでしょう。日々の生命活動は化学反応であり、病気も化学反応であり、それを治す薬もまた化学反応です。

対する「性質」もまた薬において重要な要素となります。「性質」とは、その分子がどのような形をしているか、周りの分子とどのように相互作用しているか、水に溶けやすいか、などなどについてを指します。

有名な事例が、「サリドマイド薬害」*9で、直接的な原因は当時の薬をめぐる社会システムにあるわけですが、その化学的な要因は、サリドマイドという薬には2種類の立体構造を持つ分子が混ざっていたことにありました。このように、安全な薬を作成するためには、その薬に対する化学的な知見の集積もまた必要である、ということです。

薬理学

薬理学は、薬学を代表する学問領域の一つですが、この分野は化学と生物がまさに混じり合った学問領域であると言えるでしょう。であるにも関わらず、今回この領域を化学の一分野として扱っているのは、「構造活性相関」という重要な概念が存在するからです。

薬がどのような効果を発揮するかは、その構造によって決まります。薬が体内のなんらかの分子と反応することで、薬効が生じるからです。これは、例えば「似たような構造を持つ分子は似たような効果を持つ」などということが言えるわけで、このことを「構造活性相関」と言います。

この性質を用いると、「似たような構造の分子を色々作ることで、似た効果を示す分子のレパートリーが増える」ということを意味します。構造が似ていても、違いがあればその薬効や副作用に違いが出ますから、より効きやすく、かつ副作用が少ない薬を作成する上で、構造活性相関や、それを応用した有機化学が重要になってきます。

現在用いられている薬のうちの多くは、天然物、すなわち他の生物が産生する化合物や、その構造を少し変えたものです。このような探索ができるのも構造活性相関という性質の賜物であり、かつそれについて分析できる有機化学という学問の賜物というわけです。

天然物化学

ここで「天然物」というワードが出てきたので、それについてもう少し補足をしておきましょう。

これまで多くの薬の種になってきた、という意味で、天然物は薬科学にとって非常に大きな存在です。生物と化学の関係について散々述べましたが、この意味でも生物と化学は、薬学の文脈で絡むことになります。生物由来の薬を、化学の力を用いて分析し、さらに使いやすいようにカスタマイズしていく、という考え方です。

先ほどは、「生物を化学で説明する」あるいは「化学を生物で応用する」と言ったことを書きましたが、ここでは逆に、「生物を化学で拡張する」と言った営みになるでしょうか。このような視点は薬学ならではであり、かつ薬学の面白い部分の一つでもあります。

そのため、薬学部は天然物化学の最前線の一つであり、日夜天然物に関する様々な研究が行われています。

天然物化学では、以下のような3サイクルで物事が進行していきます。

  • 天然物を「取ってくる」
  • 天然物を「合成する」
  • 天然物を「応用する」

「取ってくる」は生物寄りの領域で、植物や動物、菌類から活性のある物質を取ってきます。生物の体から化合物を抜き出す際には、化学的な操作を必要とすることもあります。

「合成する」は、生物の力なしに、あるいは力を借りて、人力でその化合物を作ろうとする試みです。そもそも、作ろうとする物質の化学構造を調べるところから話が始まり、どのように合成するかを考え、より効率の良い合成ルートを探索していきます。非常に手間のかかる部分である一方、「有機化学の花形」とも呼ばれる領域です。

「応用する」は、上に述べたように化合物の形を変え、より「都合の良い」ものを作ろうとする試みです。薬として働く部分を残しつつ構造を変える必要があるので、この段階も繊細かつ難易度の高いものとなっています。

この部分については、生物が絡みながらも有機化学色が非常に強く、そのために薬学部の中には有機化学の先進的な研究をされている先生が所属されていることも多いです。

薬物動態学

最後に薬物動態学について。この分野はこれまでと少し毛色が違い、いわゆる「物理化学」と呼ばれる領域に属します。

物理化学は、化学反応や化学的な状態を、物理を使って表し、一般化しようという学問領域で、薬物動態学では、薬物が効く速さや、薬物の効果がなくなる速さなどを、化学反応の一種として分析し、効き目について考えることを目的としています。生物に係る物理化学分野であることから、「生物物理化学」と呼ばれることもあります。全部乗せみたいでかっこいい。

内容としては計算することが多い物ですが、実は化学の中では臨床で最も良く用いられる分野で、「副作用を出さないように薬品の効き目を保つ」ために、薬物動態の分析は必須の作業になっています。ここを間違えると毒性によって体を壊したり、命に関わることもあるので重要な分野の一つとして数えられます。

ちなみにとっても難しい。

まとめ

では、この節をざっくりとまとめておきましょう。

ゴテゴテしててごめんね

大前提として、化学を「応用」したのが生物です。すなわち、この図のさらに上部に「生命科学」があると思ってください。

 

上の図は見ての通り、下が基礎、上が応用といったふうになっているのですが、薬学における化学は全体的に階層性がわかりやすく、まさに「積み重ねられて」できているんだなということがよくわかります。

2.4. 薬学における生物学

薬の対象は生物であるので、薬科学においても生物は中心的な役割を果たしています。同時に、薬学について学ぶことは、生物学について様々な側面から学ぶことになるのです。

薬科学は生物で"満たされている"

生物学の「大きさ」スケール

生物学を分類する方法は多々ありますが、最もわかりやすいのが大きさです。生物の構成は、ざっくりと下のようなスケール感になっています。

生物群>個体>器官・臓器>組織>細胞>タンパク質・分子>原子

このうち薬学で扱うのは大体個体〜分子くらいのサイズです。

先ほど「分子生物学」というワードが出てきましたが、生物学には、これらの大きさに対応した学問分野が存在していて、

生態学>生理学>形態学>細胞生物学>分子生物学

のように分類することができます。

先ほどの図に立ち返ると、小さい方が基礎寄りで、大きい方が臨床寄りであることがわかると思います。これは大きいと化学で扱いづらく、小さいと化学で扱いやすいというトレンドと地続きであり、話の一貫性を見ることができます。

また、このトレンドは一般性の議論にも見ることができます。分子的な構造や、体内での反応については生物種間で共通しているものもままありますが、臓器レベルになってくると、生物によってまちまちとなることが多いです。そのため、人を主な対象とする薬学部では、ヒトに絞った生物学を学ぶことが増えてきます*10

薬学における生物の「機能」スケール

もう一つ、「細かいもの」という指標についても書いておきましょう。免疫学や遺伝学は、体内システムの内一部を切り出したもの、と書きました。体内で起こることは、多くはその分子的メカニズムが原因になりますが、病気などの形で問題になるのは、臓器や個体レベルでその影響が出てきたときです。

そこで、分子レベル〜臓器レベルにわたって、幅広く事象を整理する必要があるのですが、そのためには個体の中での「機能」を中心に物事を整理するのが効果的です。免疫などに顕著ですが、このような例には、物質そのものの性質や、単独での反応ではなく、物質同士の相互作用を見たり、物質から成り立つシステムを俯瞰したりするものが多いです。

この視点は、薬学の中では生物ならではと言えるでしょう。化学では、もちろん溶媒との相互作用などがありますが、基本的には要らぬ相互作用がない方が良いという実験系を用いています。ところが、生物における相互作用はすでに「ある」ものなので、それについて考える、というのが生物の面白いところでもあるわけです。

病理学や生理学といったものも、免疫学や遺伝学とはスケールが異なりますが、概ね同じような放言をすることができるでしょう。すなわち、病理学や生理学は組織同士、器官同士、臓器同士などといった、体の中の「各パーツ」をシステム的に捉え、その正常性の定義や異常性の定義をするのがそれらの学問の役目です。

生命科学における「正常性」は、「恒常性」という学術用語*11で解されますが、薬学における生命科学はまさに恒常性の学問と言えるかもしれません。なぜならば、薬とは恒常性を取り戻したり、あるいは必要に応じて恒常性を「崩したり」するものだからです。

「薬」と生命科学

生命科学的な知見は、薬の効果や、薬が対象としている疾病、体内の機構に関しての知識を深めることに必要であることはもちろんですが、より直接的に医薬品へ適用されることもあります。

「医薬品」と聞いて想起されるものは、錠剤や粉薬といったものであると思われます。これらは、一般的に低分子化合物、すなわち構造が比較的単純な化学物質から成ります。ざっくり、化学構造を紙に書いてください、と言われた時に書けるレベルのものです。
ところが、医薬品にはもっと「大きい」化合物から成るものもあります。

細胞>抗体>タンパク質>分子

これは先に挙げた「生物におけるオーダー」を少しいじったものですが、ここに挙げたものは医薬品として使われるものでもあります。

タンパク質、は最もわかりやすい例です。タンパク質はアミノ酸がたくさんつながって形成される化合物であり、アミノ酸の構造を用いて化学構造を確かに示すことができます。しかし、つながっているアミノ酸の数が100個や200個や、さらに多い化合物もままあるので、この構造を紙に書き起こすことは現実的ではありません。このようなでかい化合物のことを「高分子化合物」と呼びます*12

低分子化合物は、構造も比較的容易であることから、その作成や、反応についての解析は化学が主戦場となります。しかし、高分子ともなると化学的な作用だけでは解析が難しくなるため、生命科学的な知見が重要になってきます。特にタンパク質については、生体内の物質をそのまま取り出したり、そのお仲間を使っている関係から、生命科学の視点が重要になることは言うまでもないでしょう。

さらにオーダーの大きいものとして「抗体」が挙げられます。最近は抗体医薬がなかなかhotなのですが、これはタンパク質がいくつかつながったものであり、タンパク質よりさらに大きい物質です。これは、免疫学の分野で学ばれるものであり、我々の体の中で日々がんばっている物質なわけですが、病気から我々を守る免疫それ自体を薬に使おう、というのが抗体医薬です*13
さらにさらに「細胞」自体を薬につかおう、という例もあり、ここまでくると本当に「生命科学」というフィールドです。実際、抗体を用いた薬や細胞を用いた薬などを「生物学的製剤」と呼称することもあります。

まとめ

生命科学は、薬学の根幹をなす学問であり、薬科学あるいは薬学をする以上、生命科学的な知見や解釈、表現は必要不可欠であると言えます。

これは、医薬品の開発や運用にも必要な知識ですが、医薬品それ自体にも生命科学が用いられています。生命科学については幅広いオーダーや分野について知識を得ることが必要です。

3.薬学とは

薬学というのは、これまで述べてきた薬科学という観念よりさらに抽象的な概念です。ここでは、ざっくりとその解釈を述べるに留めますが、概念としてはもっと掴みどころのない、雲のようなものであると認識しています。

3.1. 薬を「使う」ということ

薬学は、薬を使うための学問である、と僕は考えています。薬を使うには、だいたい以下のようなステップが介在しています。

  1. 病気についての知見を収集する
  2. 薬を開発する
  3. 薬を生産する、流通させる
  4. 薬を処方する
  5. 患者が薬を飲む

1に関しては医学、病理学が、2はもろに創薬科学がその役を担っており、薬学の中でも「薬科学」という分野に集約されるものであるでしょう。

ここで本題となる、「薬学であって薬科学でない部分」は3以降のステップということになります。これらのスキームを回すためには、化学・生命科学だけでなく、社会科学的な発想も必要となります。以降では、これらのスキームごとに薬学について具体的に参照することとします。

3.2. 薬の生産と流通

薬を「製造」する

どこまでを薬の「生産」とするか、というのもまた難しい問いなのですが、とりあえず開発段階でそれなりに作るべきものは決まっていることとしましょう*14。医薬品とて工業製品なので、基本的には工場で機械を用いて製造することになります。しかし、一般的な工業製品とは異なる点が二つあります。

製造にかかる点としてはそのうちの一つ、「衛生管理が重要」という点が挙げられます。身体の中に入るどころか、身体の中で何らかの作用を及ぼすことになる物質ですから、その品質管理には万全を期す必要があります。先のコロナワクチンでは、一部のロットのみに不純物が見つかった、みたいな騒ぎもありましたが、多くの量を生産する中では、そういうことにも気を配らなければならない、ということでもあります。

先に挙げた生物学的製剤、コロナワクチンもそうでしたが、このような刺激に対して弱い物質は、温度管理など気を配らなければならない事項も増えます。製造過程では様々な事項について考えつつ生産をしなければならないということです。

薬を流通させる

医薬品が他の工業製品と異なる点のもう一つは、「価格を企業が決められない」という点です*15。薬には「薬価」というものが国により定められており、その値段で販売を行う必要があります。一方で企業は企業であるために、開発費の回収*16をしなければなりませんし、企業が立ち行くように利益も出さねばなりません。その辺りのバランスを考えつつ薬価というものは定められるのであり、ここで薬は社会と接点を持つこととなります。

一方で、薬が用いられるのは病院であり、また薬局です。薬というのは使用期限があるために、必要以上に入荷をするわけにもいかず、逆に必要になった時に薬が無い、という事象が発生しないように常備を必要とするものもあります。その辺りのバランスを考えるのは病院や薬局にいる薬剤師の役割であり、また「どの薬を入れるか」というのは、企業や行政、研究機関の出す資料から、これまた現場の人間が判断することとなります。

(これが非常に難しい問題で、要するに「患者にとって最も良い選択肢」を取れるように現場の薬剤師はどの薬を用いるか決定する必要があり、一方で企業は自社の利益が必要であるために、薬を「売り込まなければならない」というジレンマが生じます。当然ここでややこしいことになっては医療倫理に反するので、第三者的にイーブンに判定しましょうね、という観念が存在します。これを「利益相反」と呼びます。医学・薬学に特有な捉えづらい概念です。)

この時点で、薬学には「社会学」の観点が取り込まれることになります。

3.3. 薬を処方する

「薬学」のメイントピックの一つはここでしょう。日本においては処方箋を出す、すなわち薬の処方に対しては医師が権限を有しますが、薬剤師もまた、薬の処方を実際に行うものとして同様かそれ以上の権限を有しています。

薬を処方する、という行為は、薬学において最も「臨床的」な行為です。基本的な観点は、「患者にとって最良の選択をする」というものであり、これに従って薬の処方をすることが必要不可欠となります。

そもそも薬を処方するべきか否か、という分岐も発生しますが、一度それは脇に置くとして、薬を処方するためにはどれだけのことを考えなければならないのでしょうか。

「薬がどれくらいよく効くか」というのはもちろん重要です。これは生物学的・化学的知見、あるいはこれまでに上がってきた臨床例をもとに判断され、また処方されたのちもきちんと経過を観察することが必要となります。これと同じくらい重要なのは「薬がどのように効くか」という点です。わかりやすい例は副作用であり、同じくらい効く薬であれば副作用が少ない方が良いわけです。同様に、患者に合併症がある場合は、その病気を悪くしないかにも注意が必要となります。すなわち、薬を処方するには、その薬の効果、作用機序について包括的に理解をすることが必要となります。

「薬の投与がどのように行われるか」も重要なファクターの一つです。薬の投与頻度はどれくらいか。経口投与、すなわち「飲む」だけで良いのか、注射が必要なのか、あるいは坐薬なのか、などなど、これらは「効きやすい投与方法」について検討する必要もありますが、患者の環境的に投与が可能なのか、あるいは心理的なハードルはどうなのか、など様々なファクターについて考える必要があります。

これらの事象を解決するためには、患者と健全なコミュニケーションを取ることが必要になります。まあ当然のことですが、この「臨床的」な視点も、薬学を学ぶ上では必要となる、ということです。
現場においてこの視点が重要となるのはもちろん、バックの、いわゆる「薬科学」的な部門にもこの考え方を援用することは必要でしょう。ここでは薬科学と臨床をある意味「対比的」に描いていますが、このギャップを埋めるという試みは、臨床の視点を科学に持ち込むことで他生されるものと考えられます*17。薬学のコアの一つはここにあると思います。この話は後でもう少し。

3.4. 薬を飲む

服薬指導、という言葉がありますが、薬は適切に服用しないと聴かないどころか、身体に害をなす可能性すらあるので、適切な薬の服用を促すのも薬学の役目の一つです。

これは、医師・薬剤師によるアドバイスや、行政による呼びかけなどのソフト面の対策から、薬それ自体の設計を考えて、適切に飲んでもらいやすくする工夫を設けることもあります。ここには、行動学的な観点が援用されていることになるでしょう。

さらに、薬による副作用をモニターすることも必要となります。薬物動態学について、「臨床でも用いられる分野」と記述しましたが、ここで役立ってきます。上にも書いたように、患者は薬の対象としている他に疾病を抱えている可能性もあり、その影響で薬の作用が、想定とは異なる可能性も十分にあります。そのために、特に作用が強い薬や、リスクのある患者については、投与後の薬の動きをしっかりと追う必要があります。

3.5. まとめ

問題は、ここまで述べた内容は全て現実にあるものであり、机上の勉強だけではどうにもならない、ということです(いわゆる「現場で起こっているんだ!」というやつですね)。

薬学というのは、薬科学と社会との前線、というものが包摂されています。もし科学と現実社会が対比されるものであるのならば、その境界線の一部が薬学に埋まっている、と言えるかもしれません。

応用科学的な視点に立つのであれば、このギャップを埋めるというのが薬学の役目であると考えられます。さて、この記述は先ほどもしましたね。すなわちこれについては次章にて詳しく述懐されるということです。

4.なぜ、薬学をするのか

冒頭の繰り返しになりますが、この内容はあくまでも個人的な内容であり、所属する団体、あるいは薬学という立場を代表する言説ではないことを最初に断っておきます。

4.1. 薬学的科学観

自分が薬学をしている理由の一つが、薬学の中にある科学の立場が自分の好みである、というものです。薬学の中で科学がどうあるか、ということについては上につらつらと書いたので、もう一度繰り返すようなことはしませんが、僕の好きな科学、という視点を補足しておきましょう。

僕は元々、化学と生物の交差点を目指して、薬学部に入りました。自分が指向していたのは天然物化学であり、天然物化学において覇権を握っている薬学部では、自分の望むような研究ができるのではないか、と考えたからです。
この裏には、化学だけではなく、生物もやりたいな、という思考があったものと推察されます。特に高校の頃生物が好きだった、という記憶はないのですが、大学に入って化学に立脚した生命科学を扱ううちに、分子生物学的な物の見方にも興味を抱くようになりました。

こういった人間にとって薬学部は適している場所です。特に「生物」と「化学」を重点的に扱うような学部として薬学部は代表的であり、かつ薬のような分子を扱うために、その視点は自ずと化学や分子生物学が中心となるからです。

ところで、自分が興味のある分野は、必ずしも「化学/生物の越境」を意味しません。むしろ、化学と生物の間、あるいは化学→生物という記述が正しいように思えます。
いわゆる「理系」の科学は「自然(natural)科学」と「応用(applied)科学」に大別できます。化学は、自然科学と応用科学のいずれの分野も内包すると同時に、「自然科学でも応用科学でもある」というふうに考えています。これは、化学だけでなく、他の領域にも当てはまる事項かもしれません。
そして、薬学という学問領域においては、「化学→生物」という科学が、その要素を非常にわかりやすく反映しています。薬学の対象たる疾病は生物学的である一方で、そのメカニズムや、あるいはそれを治すための薬剤は化学的に開発されうる、というのは上に散々書いた通りですが、それはまさに、「自然科学=疾病や化学物質の基礎研究」であり「応用科学=創薬」であるはずです。

この意味で、薬学、ここでは薬科学と呼んでも構わないかもしれませんが、科学というフィールドを「生物ー化学」を軸にして大胆に切り取り、その関係性をヴィヴィッドに投影しているものであると僕は考えています。

4.2. ヒト/人という系での科学

さて、上に挙げた要素をもう少し具体化してみましょう。

ヒトは生物であり、かつ社会の構成要素であるとも捉えられますが、薬学は、それら双方の要素に関して、「間に入って」科学を扱うことになります。

生物学的ヒトの中での薬学、というのは、まさに薬学そのものであると言えるでしょう。薬というのは、主にヒトの体の中で機能するものですが、ヒトの体の中というのは、自然の中でもトップレベルの複雑性を有する系の一つです。その中で、あらまほしき機能を発揮するための薬というのは、非常にセンシティブな科学に立脚しているはずです。

一方、社会の中での科学、というのは、例えば「実装」という言葉で表されるものですが、上記したような薬の「処方」「流通」といったものがそれに当たるでしょう。自分は、法をはじめとした、社会を成すシステムも好きなので、薬学はそのフィールドとしてうってつけの分野の一つではないかと思います。

「社会の中での科学」と書いていますが、あるいはこれも「科学」の一片と捉えうるものかもしれません。上記したような、応用科学による科学の社会への適用は、科学が社会にて利用されるという前提を踏まえると、科学による一定の責任で行われるべきであると思われるからです。*18そして、人の健康に関わる薬というものに関して、その要素がシビアであるということは言うまでもありません。

この意味で、薬学を「俯瞰する」という態度が、自分が理想としているものの一つです。創薬や、その基礎にある化学や生命科学に対する興味と同時に、薬の運用、というところにも一定の興味があるのは事実であり、そのために薬学部に所属していると言えるかもしれません。

また、言い換えれば、「臨床」というフィールドは「科学」と「社会」の境界に位置していると考えられます。臨床、すなわち患者さんは、現代医療においては「科学的な」アプローチを取られることが一般的です。治療、というのがそういうことであるとも言えるでしょうか。
一方で、臨床は「所与の」と述べたように、科学では手の届かない、既存の理論の外側にあるかもしれない存在です。特に化学や生命科学は、新規的な「事実」に弱い傾向があると思っています。その弱みを、実際にあったこととすり合わせることで超越していける、というのは、薬学という限られた系における一つの魅力なのではないかと思います。

4.3. 薬というものの複雑性

これまでに挙げた内容の「逆」と言えるかもしれません。薬そのものにも複雑性があります。その起因の一つは、前述したような生物学的ヒト体内環境の複雑性です。そのために、意図していなかった反応や相互作用、あるいは反応の減衰が起こり得るという点であり、これは上に述べた要素です。

対して、薬の成分自体にも複雑性があります。薬はいわゆる「有効成分」のみにてできているわけではなく、その薬物の作用を調整するために、さまざまなものが含有されています。その好例が「生薬」「漢方薬」であり、これらは天然の生物を「そのまま」用いているために、その作用は非常に複雑なものになることが知られています*19。これをコントロールするにはまた、生命科学や化学に対する理解が必要になります。

面白いことに、これらの内容は、科学的な研究にて明らかにされることですが、実運用上においては、法令をはじめとする社会的システムによって制限されています。「日本薬局方」がその好例であり、薬の内容物やその濃度・純度などのプロファイルは厳格に運用されています。この意味でも、科学と社会への架橋は不可欠な要素であると言えるでしょう。

5.最後に

感想文をさっくりと書くつもりが、非常に入り組んだ、またわかりにくい文章になってしまったことをお詫び申し上げます。

これをもとにして「薬学に興味を持ってほしい」「薬学を勉強してほしい」というよりは、「こういう世界観もあるんだな」と感じていただければ幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

*1:以前は薬科学科所属でも、特定の課程を修めれば薬剤師免許を取得できたのですが、そのシステムは近年廃止されました。そのため、薬科学科の先生の中には薬剤師免許をお持ちの方もそれなりにいらっしゃいます

*2:ただし、そもそも医学部の数に比べて薬学部の数は結構少ないです

*3:具体的に化粧品を扱う授業があるわけではないが、事例として紹介されたり、卒業後化粧品を製造する企業に就職したりする

*4:流石に地学をメインに研究している方はほぼいないですが、生薬の一部として鉱物が使われることもあります

*5:ここでは、「生物学」と「生命科学」はほぼ同じ意味で用いています。一応辞書的にはちょっと異なる意味があるかと思いますが、それについては各自で調べておいてください。なお、「生物」には学問領域(=「生物学」の他に、「生きている物」という意味の「生物」(=実態としての生物)があるので、紛らわしい場合はなるべく「生命科学」を用いています。

*6:ただし、「完全に健康な人」というのは存在しないので、あくまで仮想的なモデルということができるかもしれません。「砂山のパラドックス」みたいな感じ。

*7:一応純粋な数学は独立していると言えるかも。数学は科学における「言語」みたいな扱いで、「歴史学者が歴史を読み解くのに言語を使っていて、言語学者は独立に言語について考えている」みたいな認識だと思います((でも言語学者って文化人類学とかに立脚しているのかしら。数学も論理学とかに影響を受けているのでしょうから、実際には完全に独立な学問体系などないのかもしれません

*8:念のため他の領域についても補足しておきましょう。「数学」については上に述べたように言語であり、「物理」はその言語を、現実の法則として記述するもの、そして「化学」は「物理」を実在の「もの」に対して当てはめる学問である、という一連の流れが想像できます。また、「化学」の応用先には3通りあり、人工物を扱う「工学」、天然物のうち、生きている物を扱う「生物」、生きていない物を扱う「地学」とざっくり分けることができるでしょうか。

*9:妊婦がサリドマイドを処方されたことにより、奇形児の妊娠という副作用が続出した。日本における最悪の薬害事件の一つ

*10:他の生物の薬学については、例えば獣医学部における薬理学などで学べることがあります。

*11:体内の様々なスケールで保たれている均衡、あるいはその均衡を保つ機能のこと。わかりやすい例では、電解質バランスや水分量、体温などが上げられる。「ホメオスタシス」とも。

*12:本来「高分子化合物」の定義はもう少しナーバスなものですが、ここではこれでご了承ください。高校化学で扱う「モノマーがたくさん連なったもの(=「ポリマー」)」と「分子量が大きい化合物」という二種類の意味があることだけ附記しておきます

*13:もちろんこんなに単純な思考から生まれたものではありません。ちなみに免疫システムから生まれた薬はこれ以外にも色々あり、「抗生物質」もその一種です

*14:「この物質が病気に効く」ということがわかっても、どの形態で投与するのが適切なのか(錠剤?粉末?吸引?などなど)、大ロットでうまく生産できるか(実験室ではうまく合成できても、工場では合成ができない、みたいなことはままある。これを乗り越えるには工学的な知見も必要)、など、乗り越えるべきハードルはたくさんある

*15:日本においては。以降の内容も全て「日本における」ルールです

*16:一般に医薬品の開発には莫大な資金が必要になります

*17:臨床は「所与」のものなので

*18:逆に言えば、科学がこの実装をスムーズにできなければ、社会に利用されない、という内情も含んでいます。

*19:このために、東洋医学の論理は、西洋医学と全く異なります。

目黒川お花見道中記

目黒川へ花見に行った。ただそれだけのことなんだけれども。

 

※今回は語り口がいつもとやや異なります。ご了承ください。

 

背景と動機

春の麗の目黒川

どうやら、自分にはバイトの中日に思いつきでレジャーに行く性があるらしい。件の山梨旅行も、バイトの中日だった。

 

↓よんでね

sprechchor-on-correct.hatenablog.com

 

三月の最終週は、月・火・木・金とバイトで、水曜日が空いていた。おりしも桜が満開の時期である。したがって、花見に行くことにした。

目黒川は桜の名所である。もちろん桜の名所は東京にたくさんあるのだが、ある理由から自分は目黒という土地に愛着を持っているので、自然と目黒に行くことになった。

 

すたーばっくす

目黒にはスタバがある。スタバは東京にありふれた存在であり、別に特筆すべきものではない。ところが、目黒にあるそれはとても「強い」のである。

 

↓詳しくはwebで

www.starbucks.co.jp

 

その名をSTARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYOという、なかなか癖の強いスタバなのである。

 

一応知識を整理しておこう。

STARBACKS RESERVE®というのは、スタバが提供している特殊なコーヒー豆である。豆自体を取り扱っている店は、割と色々なところにある。わかりやすいところで言うと東京駅にある丸の内オアゾや、東京ミッドタウンあたりだろうか。別に東京にこだわる必要もなく、さまざまな都道府県で提供がなされている。

そして、その豆を提供している店の極値が、件の店である。なんと世界に6店舗しかない。そしてそのうちの一つが目黒にある。急に話が壮大になってきた。

 

もちろん、かなり人気な店である。スタバ自体がそれなりの人気を誇っているが、ROASTERYに関しては桁違い、数時間待ちがザラという世界観である。

自分も、前日にTwitterで検索をしてその事実に辿り着いた。Twitterは便利である。予想はしていたが、しかしここまで待つものなのかという驚きもあった。なんなら開店時に行列ができるレベルらしい。恐ろしや。ただ、店は22時までやっている。時間さえ選ばなければ、そして待つことを厭わなければ*1、そこまで無茶な話ではない。店に入ること自体は。

 

桜と人々とスタバと

話はそう単純ではない。

 

件の店には、テラス席なるものが存在する。

店は目黒川沿いにあり、当然ながら目黒川の桜がよく見える。このことから、テラス席はかなり人気になることが予想される。自然な帰結である。

スタバとてそう馬鹿ではない、この混雑を見越して、テラス席の利用は整理券制となっている。そして、繁忙期には店舗周りの混雑を避けるため、入店も整理券制となる。

 

この二つが噛み合わさり、現在この店はなかなか恐ろしいことになっているのである。ここまで読んだだけだと、「なんだ、整理券を二つ取ればいいだけではないのか」と思うかもしれない。確かに、整理券が残ってさえいれば、そこまで過酷な話ではないように見える。

 

繰り返すが、話はそう単純ではないのである。

 

ここで、上記した公式サイトから、『桜開花時期のテラス席ご利用について』を参照してほしい。そこには、こんな一文がある。

ロースタリー東京に入館いただいた後、館内にある端末にて発券手続きをお願いいたします。

つまり、テラス席を利用するための手順は、正確にはこうである。

 

入店整理券を取る→待つ→入店する→テラス席整理券を取る→待つ→テラスに入る

 

もちろん、運が良ければ、もしくは早い時間に行けば入店した時点のテラス席を確保できる。しかし今は繁忙期、そうは問屋が卸さない。すなわち、テラス席に行くには莫大な時間が必要になるのである。

花は桜?

花よりコーヒー

物は試しである。とりあえず行ってみることにした。

ロースタリー東京は東急線中目黒駅と、池尻大橋駅のちょうど中間ぐらいにある。まずは池尻大橋駅から、店へ向かう。

 

池尻大橋駅から徒歩10分ほどで到着した。時刻は11時30分ごろ。周囲は花見客とスタバ見客で賑わっており、このために警備員さんが3人ほど駆り出されていた。大変である。

Twitterの情報だと店の周りに並ばないといけないような書き込みもあったが、実際には、店の隣にあるスペースで、QRコードを読み込むと簡単に発券できるシステムになっていた。客が並ぶのを避けるために並ばせるのも意味がわからないので、確かにこれは良いシステムだなと思った。

お店の人は240分〜300分待ちとアナウンスしていた。某夢の国のアトラクション並みである。ちなみに筆者はそこで500分待ちを観測したことがある*2ので、ぎりぎり怯まなかった。

発券すると、大凡570組待ちと表示された。少し怯んだ。自分の番号が1020番くらいで、半分以上の人がまだ呼ばれていない。おそらく一生のうちにこれ以上の街列を観測することはないだろう。

 

幸い、近所に用事があったのと、渋谷に行きたかったため、ひまつぶしの用意はたっぷりあった。時間的にちょうど夜のテラスが取れるかな、という呑気なノリで一時撤退。

物見遊山

用事を済ませた後、渋谷へ。

最近は渋谷に行くこともめっきり少なくなった。

ロースタリー東京からまっすぐ歩くと30分くらいで着くだろう。多分待ち時間を潰すには東京がちょうどいいと思う。

 

タワーレコードでCDでも漁るか、と歩いていると、こんな場所が。

かっこいい。

神椿さんの動向はあまり追っていなかったのだが、気になっているボカロPさんもいることだし、と思い店に入ってみることにした。

後々わかったのだが、この催しの本質は2階で行われているイベントであり、自分が行ったのは物販スペースだけだったらしい。

 

prompt-alpha-u.kamitsubaki.jp

 

イベントの方に行くのはチケットが必要なのだが、これを調べた時に、よもやチケットが必要な場所に入り込んでしまったのではないかと血の気がひいた。チケット確認なんてされてないし。

ちゃんと書いていないのだが、物販スペースはフリーで入れたらしい。無罪である。

 

物販スペースだけでもかなり愉しい。特に、普段は通販でしか取り扱っていない神椿さんのCDが大量に積まれている様は圧巻であった。自分もコンピを2枚買った。メンツの豪華さの割に安かった気がするのでかなり良い買い物をしたと思っている。

 

↓買ったやつ

youtu.be

youtu.be

 

こういうのに出会うと渋谷って良いな、と思う。

たわーれこーど

タワレコにも行った。

ちょうどプロセカのシングル発売日だったらしく、ほしい曲でもあったので買ってしまった。色々逡巡したがとりあえずプロセカを2枚買い、撤収……

 

と思いきや。

渋谷のタワレコには、デモ音源を無料で配布するためのCDというものが置かれている。

 

↓これ

youtu.be

 

ここに以前から気になっていた「十五少女」の曲が収録されていたので、衝動買いした。無料なので「買い」ではないのだが。

大量に持っていかれるのを防ぐためか、レジを通すシステムになっていた。これも良いシステムである。

レジで袋をまとめてもらうときに、先ほど買ったプロセカのCDを乃木坂46のCDと間違えられ、ビラをもらいそうになった。帯がパステルカラーだったからであろう。

今思うと、素直にビラをもらっておくべきだったのかもしれない。

帰還

スタバは回転が早い。

経過を見ていると、50人や100人くらいの単位で、自分の順番が迫ってきていた。240分待ちとなっていたが、意外と早く自分の順番が回ってきそうである。

 

昼ごはんを済ませ、池尻大橋経由でロースタリーへ戻る。池尻大橋にある目黒天空庭園で休憩しつつ向かうと、ちょうど良い時間になった。14時30分ごろ、約200分待ちで入店*3

入店してまっすぐ、3階にあるテラス席整理券端末へ。意外とここも並んでいなかった。しかしそれは、予約が大方一杯だったからである。もう枠はないか、と思ったが、辛うじて19:15〜の枠が空いていた。

店員さんに「遅い時間ですが大丈夫ですか?」と言っていただいた。ここの店員さんは皆優しい。

 

11:30から、7時間45分。465分待ちである。

 

すごいぜスタバ。

なお、テラス席の整理券取得後は、一時退店が認められる。整理券を無くさないようにしよう。

花開いた今を言葉如きが語れるものか

花見

流石に時間が空きすぎるので、一度家に帰ることにした。

ロースタリー東京から目黒川を降り、目黒駅へ向かう。やっと、目的の花見である。

 

前日に雨が降っていたが、桜はまだ満開であった。ちょうど散っていく時期で、ハラハラと落ちる花びらがとても美しい。流石に人もたくさんいたが。

いや、本当に美しい風景だった。写真が上手くないことをここまで残念に思うことはないだろう。今年はもう無理かもしれないが、是非来年にでも足を運んでほしい。

 

割と綺麗に撮れたと思うものをいくつか載せておこう。

めぐろがわ

中目黒駅。電車との共演もよろし。

水面の紋が綺麗

 

天気も良く、まさにお花見日和だった。言葉に言い尽くせない美しさとはこのことだと実感した。

↓タイトルから察せるかもしれないが、これを聴いてました

youtu.be

花曇り?

目黒から熟睡しつつ帰宅し、一時間ほどだらだらして家を出た。

 

家を出ると、雨が降っていた。

 

確かに、天気予報は曇りであったし、物によっては雨と書いてあることもあった。本当に降るのか。俄に雲行きが怪しくなった。二重の意味で。

テラス席というのは、ご想像の通り屋外にあるので、悪天候では閉鎖されることもある。これだけ待って、テラス席に行けないとなると悲惨である。

 

物は試しである。とりあえず行ってみることにした。

 

ルートとしては先ほどの逆順、目黒から川を登っていく。

夜になると、小雨が降っているにもかかわらず、人が増えてきた。実際綺麗である。クリスマスイルミネーション行脚演習をしていてよかったなと思った*4

一人で桜の中をずんずん進んでいくのは、滑稽もしくは不審だったと思う。おそらく後者寄りであろう。

 

相変わらず桜は綺麗であった。

夜桜っていいよな

19時ごろにロースタリー東京に到着。店員さんにもやや混乱が見られたが、テラス席の整理券を見せれば入店はできる。

流れる涙場所でお茶しませんこと?

退紅トレイン

唐突だが、『退紅トレイン』という曲がある。「神山羊」名義でも活躍されているボカロP、有機酸さんのデビュー曲であり、自分もかなり気に入っている曲だ*5

 

↓いい曲なのでぜひ聴いてみてください*6

youtu.be

 

この曲には「聖地」が二つある。どちらも、歌詞の中で明確に言及されている土地だ。

 

一つ目は、京都。

京都に行ってお団子食べて

という歌詞がある他、MVに使われている写真は京都・蹴上付近にある「ねじりまんぽ」というトンネルのものである。

自分で行って撮ってきたやつ。

 

そしてもう一つが、中目黒である。

中目黒はまだまだハイカラですこと

がその歌詞。

この曲がきっかけで、自分は中目黒に強い思い入れを持つようになった。冒頭の「目黒に行くことになった」理由はこれである。

また、「退紅」という単語。「あらぞめ」と読むのだが、くすんだ桃色の、伝統色である。これはちょうど三色団子のピンクの部分、そして桜の色に類似しており、この曲が好きな身にとって、桜の季節に中目黒に行くというのはとても意義深い行動なのである。

流れる涙場所で

話を戻そう。

 

ロースタリー東京は、主に4つのフロアに分かれている。

1階は、いわゆる「スタバ」っぽい、コーヒーがメインのフロア。もちろん扱っているメニューは普通のスタバとは異なる。また、パン屋もあり、コーヒーとパンを一緒にいただけるという贅沢な場所だ。

2階は、お茶をメインとしたフロア。スタバでは紅茶も取り扱っているが、ここではより多様な紅茶を楽しめるだけでなく、なんと抹茶ラテまで取り扱っている。石臼でお茶を挽く様子も間近でみることができる。

3階は、バー風のフロア。1階のようなコーヒーメニューの他に、アルコールも提供している。席の予約もできるらしい。

4階は主に客席だが、機械などが色々置いてあって面白い感じになっていた。

 

当初1階を利用するつもりだったが、ドリンクとフードを組み合わせてオーダーする方法がわからず、どちらも同じカウンターでできる3階へ行くことに。

なかなか緊張した。

メニューについては、上記のリンクに色々あるので見てみてほしい。自分は、スピリットフリーカクテル*7の、シネマカプチーノとティラミスをオーダー。割と迷ったが折角なのでいいものを嗜もうと思った。

無粋なのでここには書かないが、それなりにいいお値段した。気になる方は公式サイトをチェック*8

20分くらい待ち時間があります。

 

さて、お忘れのことと思うが雨が降っている。店に来るまでは小雨だったが、オーダーを終えると本降りになっていた。

よぎる不安。

さらに、テラス席の方では店員さんが忙しそうにしている。余計に不安を募らせた。やや泣きそうだった。良いスタバなのに。

 

ものを受け取り、4階へ。

 

テラスは……

 

使えました。

 

屋根側の席が使えるらしい。川からは少し遠ざかり、桜はやや見づらいですが、ここまで待って行けないよりはうんとましです。

 

早速、いただきましょう。

本日私がいただくのは……

テラスからの眺め

4階となるとやや遠いので、選択の余地がある場合は3階席をお勧め。

 

お味の方ですが、単刀直入に言います。マジで美味しかったです。

シネマカプチーノはコーヒーの味を三種類から選ぶことができ、自分はビターなものを選択しました。キャラメルベースのカプチーノですが、キャラメルの甘さとコーヒーの苦さが上手く調和していて素晴らしかった。後味や残る香りも本当に豊かで、満足いく逸品でした。

ティラミスもくどくなく、そこそこ大きかったですがさくっと食べられました。コーヒーとの相性も良かったですね。

 

ただし、一つだけ問題が。

寒い。結構寒い。春とはいえ、雨が降るとそこそこ冷え込む。温かい飲み物にすれば良かったな〜でも美味いな〜とおもいながら過ごしていた。

 

こういうところでは読書をするのが筋なのだろうが、少しだけ音楽を聴くことに。色々考えて、先ほど出ていた『退紅トレイン』を聴いていた。

流れる涙場所でお茶しませんこと

という歌詞が、まさに自分の境遇とぴったり。

中目黒はまだまだハイカラですこと

席は90分使えるのだが、流石に寒かったので40分ほどで退散。お店の中を見て回ることに。世界に6店舗しかないとなると内装もとても豪華。

ギラギラしてる

割とメカメカしい、一つの工場みたいな内装をしている。

 

あまりにも寒かったので、1階でホットチョコレートをテイクアウトして帰った。ちなみに傘を持ってきていなかったのでずぶ濡れである。電車に乗るのが憚られるくらい濡れた。

明かりが消えても綺麗。スキがないね。

帰りは中目黒から撤収。長い一日が幕を閉じた。

 

と思ったら、六本木での乗り換え途中に謎のオブジェが。

ごつい。

夜の閑散とした小綺麗なオフィスビルにこれがドンとあると、さながらRPGのボス戦みたいだった。迫力ある。

まとめ

感想

東京で花見をするにはそれ相応のエネルギーと時間とお金が必要だと痛感した。少なくともどれか一つは必要である。総じて良い経験ができたし、満足な一日であった。

桜は本当に綺麗だった。自分は花見というものがそんなに好きな人間ではないが、桜を讃える気持ちがかなりわかった気がする。それくらい美しい風景だった。人が多かったことだけが難点である。

のちの人のために

  • 目黒川で花見がしたい、という目的であれば、池尻大橋駅〜ロースタリー東京の区間、もしくは目黒駅付近が割と空いている。特にロースタリー東京〜中目黒駅はかなり混むので、避けた方が良いと思う。
  • 桜シーズンにロースタリー東京に行こうと思っている人は、暇つぶしする場所に見当をつけておこう。渋谷というのは割と良い選択肢だったと思う。屋台なども出ているが、混んでおり、目黒川近辺で暇潰しをするのは賢明ではない。
  • いいテラス席を抑えるためには、正直開店直後に行くのが最も賢明。かなり並んでいるらしいが。10時くらいだと3階席は厳しいと思う。入店は時間が選べないが、テラス席は時間が選べるので、それを加味して予定を立てれば良い。

 

以上です。割と楽しかったのでおすすめ。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

出典

『春泥棒』/ヨルシカ

『退紅トレイン』/有機

*1:後述するが、呼び出しの時間に店に辿り着けさえすれば、別に店の近くで待っていなければならないと言う制約はない。

*2:出来立ての「トイ・ストーリー・マニア!」。

*3:呼出から1時間程度の遅れであれば入店できるらしいので、そこまで焦る必要はない

*4:一昨年のクリスマス当日に、一人でイルミネーションを巡った回。人の多さやカップルの多さには、ここで慣れた。

*5:YouTubeでは、『ウッドペッカーは夜泣く』が先に投稿されているが、ニコニコ動画の概要欄から、『退紅トレイン』がデビュー作であることがわかる。『ウッドペッカー』は7作目

*6:アルバム「facsimilie」に収録されているバルーンさんアレンジver.も超いいです……!

*7:ノンアルコールカクテル。モクテルの一種だと思います。

*8:記載はないですが、ティラミスは700円くらいでした。これはまあ妥当だと思う。

春休み旅行記① 1日目

注:⓪を読んでいない方は先にお読みください。

sprechchor-on-correct.hatenablog.com

 

 

行程の詳細

東京駅ー(JR中央本線[特急あずさ41号])ー松本駅

旅の初めは東京駅

旅の初めは日本橋であり、鉄道旅の初めは上野であると相場は決まっていますが、自分にとっての旅の初めは、大方東京駅です。

ただし、目的地が松本である場合、大方新宿からスタートすると良いとされています。実際、⓪にリンクを載せた山梨旅行記でも、そのスタートとゴールは新宿でした。それでは、なぜ東京駅からスタートすることにしたのでしょうか。

 

丸の内駅舎の背中が見える。

その理由は「おもしろいから」です。おもしろい、というのは多くの人間の行動原理であると把握していますが、御多分に洩れず、今回の旅でもおもしろいから、という理由で様々なことをしています。では、何がおもしろいのでしょうか。

まず、東京駅から出る特急「あずさ」号は、1日に一本しかありません*1。それが、上記した「あずさ41号」です。山梨旅行記にも書いた通り、自分は関東圏で好きな列車として「あずさ」をよく挙げるのですが、それの特殊パターンがあるというのであれば乗らないという手はないでしょう。

また、東京起点、東京終点にしたかったという意図もあります。帰りは仙台からであるため、東京へ帰ってくることになるのですが、それに合わせて「一周」の行程を作るため、東京を起点にしました。

その他、家から近かったとか、時間的にちょうどよかったとか諸々の理由があり、結果として松本に行くのに東京出発という所業を成し遂げました。

 

さて、東京駅ではかの有名な駅弁屋さん「祭」でお弁当を買っていきます。「祭」には様々な地方の駅弁が販売されており、実はこれから向かう地方のものもジャンジャンあったのですが、なんとか美味しそうなものを発掘していきました。

鎌倉の押し寿司らしいです。美味かった。

近鉄道系YouTuberなるものをよくお見かけするのですが、みんなここで駅弁を買っていたので真似してみました。実際品揃えはとてもよかったので行ってみるといいと思います。おすすめです。

中山道

さて、そろそろ出発しましょう。

特急あずさは、東京から中央線・中央本線に乗って235.4kmを、おおよそ3時間で西進します。停車駅もそれなりにあり、東京都では中央線快速との兼ね合い、西部では山道と、あまりスピードを出せないと言えば出せないのですが*2、それでも鈍行で行くよりは圧倒的に早いですね。なにより、乗り換えがないのがとても楽です。

 

前回はほぼずっと寝ていたのですが、今回は道中のイベントを楽しむため起きていました。まずは、先ほど買った駅弁を食します。いつも中央線快速で通っている御茶ノ水飯田橋をガンガン通過していく不思議な光景が車窓に流れていました。

お弁当を食べ終わり、高尾に差し掛かったあたりから山に入ります。あずさの車両は、山道を走る前提なので(そらそう)、スピードを落とさずガンガン走るわけですが、その代わりよく揺れます。「揺れる」というより「傾く」に近い感覚ですが。

 

とか言いつつのんびりしていると、車内販売が来ました。最近では数が少なくなった特急列車の車内販売です。ネットで販売内容を見ていると、かのアイスを再販しているということが発覚。せっかくなので購入してみました。

シンカンセンスゴイカタイアイス

味はまあ……いつものお味なのですが、その特別感が美味しかったです。と言っておきます。

 

さて、そうこうしているうちに、あずさは前回訪問した甲府を超え、小淵沢を超え、長野県に入りました。ちなみにこのあずさは甲府小淵沢には止まるのですが大月には止まらないパターンのやつでした。

電車に揺られていると、というより振られていると、段々酔ってきました。お酒を飲んでいたわけではありません。車酔いです。甲府あたりから松本まで、それなりにあるのが余計に辛い。また、冬特有の暖房が暑い(熱がこもる)という状態にも直面していました。

松本

というわけで、てんでからがら松本駅に到着しました。長野の街ということもあり、雪も残っていて少し寒い。ただ、これまでの環境からすると少し寒い方が、熱を発散できたり酔いを覚ましたりできて嬉しかったです。

松本。専用ホームではないので色とりどり。

先ほど駅弁は食べたのですが、無類の鶏肉好きである自分にとって、見逃せないメニューがありました。それが「山賊焼」というもの。

平たく言えば、非常に大きい鶏の竜田揚げ、と言ったところでしょうか。それを売っている店が松本駅の隣にあるということなので、ホテルにチェックインする前に寄って行きました。居酒屋だったのですが、テイクアウトでお弁当を買って行けるのがありがたい。

 

泊まるホテルは、松本駅から徒歩10分、松本城に程近いホテルでした。主観ですが、松本のビジネスホテルは、松本駅から松本城にかけて点在している節があります。

チェックインを済ませると、山賊焼は一旦置いておいて、松本城へ。松本城は訪問当時ライトアップがされていました。

かっけえ

単に光っているだけでなく、天守閣に向けてプロジェクションマッピングがされていたり、迫力ある音楽が流れていたりと、なかなか見応えのあるライトアップでした。なにより、お堀に天守閣が映っているのが美しいですよね。

このお堀、周りに柵などがないため、落ちないかややヒヤヒヤしていました。そんなに深いものではないので、溺れたりはしないのでしょうが、、

 

15分ほど見て撤収しました。夜なのでちょっと寒かったですね。じっと見ているのは辛いくらいの寒さでした。

部屋に戻って先ほど購入した山賊焼を食べます。

割り箸と比べるとその大きさがわかる

なかなかジャンキーな味がして美味しかったですね。ボリュームもあって大変満足しました。先に駅弁を食べていたはずなのに軽く食べ切ってしまいました。鶏肉最強。

 

以上、1日目の行程でした。

 

2日目に続きます。

*1:東京より西の千葉からくるあずさも存在しますが、それは東京を通過して新宿に行きます。よって下り列車は名実ともに一本しかありません。上り列車は東京止まりが二本あります。

*2:実際平均時速80km程度なのでそんなに早いわけではない

春休み旅行記⓪ 概要

お久しぶりです。このブログを書くこともめっきり少なくなってしまいましたが、先日大きめの旅行をし、その模様を文として残しておきたいと思いまして、大きめの記事を立てようと決意しました。このブログでは珍しい連作タイプの記事です。

旅行の概要

5W1H的な内容です。

1)日程:2023年2月16日〜20日
2)人員:同行者1名(当記事ではそこまで登場しません)
3)行先:松本・新潟・米沢・仙台
4)目的:後述
5)手段:各種在来線及び第三セクター

切符についてですが、青春18きっぷは使用可能期間外であったため使えず、様々なパターンを検討しましたが、結局普通の乗車券+特急券で移動しました。ここだけでも記事1本書けるくらいの情報量があるので、また番外編のような形で書こうかなと思います。

記事は1日につき1本出します。行程の都合上、1日目の内容がやや薄いですが、2日目と合わせるとえらいことになるので、全日分けます。長かったら2記事に分けることもあるやもしれません。

旅行の目的

旅行というものは、特段といった目的がなくてもして良いものと存じますが、今回の旅行には非常に複雑な目的が存在したので、後の記事の都合からここで整理しておきたいと思います。

1.本州最後の未踏県到達

半年前くらいに書いた山梨旅行記の記事に、山形に行けば本州全ての都府県に到達する〜という内容を記載していました。

sprechchor-on-correct.hatenablog.com

しかし、先日親と確認作業をしていたところ、自分は宮城県に行ったことがない*1ことが判明しました。これはまずい、ということで、仙台に行こうと思ったのが、ことの発端です。

2.山形再訪

先ほど名前が出た山形ですが、昨年夏に合宿免許でお邪魔していました。ところが、一人で参加したがために、非常に寂しい思いをするという結果に終わってしまいました。決して山形県米沢市、そして自分が行った教習所に責があるものではありませんが(ここ大事)、山形県への印象(バイブス)を上げるべく、再訪したいと思った次第であります。米沢市山形県への思いはどう変わったのか。結果はぜひ、当該日の記事をチェックしてみてください。

3.新潟の友達に逢いに行く

まんまです。詳しくは当該日の記事を読んでください。

4.懐かしの駅スタンプラリー制覇

JR東日本で行われていたスタンプラリー「懐かしの駅スタンプラリー」に参加していました。

www.toretabi.jp

これは、首都圏にある駅のほか、「東北・信越周遊編」として、長野駅新潟駅・仙台駅にもチェックポイントが置かれています。今回の行程には、それらの駅が含まれています。

5.その他

デカめの旅がしたかったとか、特急に乗りたかったとか、えちごトキめき鉄道に乗りたかったとか、色々な理由が加味されています。大方はここに書いた通りですが、また該当の箇所で取り上げることもあるかもしれません。

目次

記事を公開次第、以下にリンクを貼り付けていきます。お楽しみに。

① 1日目

sprechchor-on-correct.hatenablog.com

 

*1:もちろん、東北新幹線の乗車経験はあるので、通過したことはあります。

2022年推し曲10選+α

いつもの。

去年に比べて聴く数がちょっと減ってしまった。NicoBox導入など、個人的にでかい事象はいくつかあったのですが。まあでも、いい曲が色々あるし、いいか。

~レギュレーション~

①2022年上半期にYouTubeに投稿された楽曲(ただし2021年12月投稿も一部含む)

②私が2022年のプレイリストに入れた曲

【ボカロオリジナル部門】

1.キメラ/DECO*27 feat.初音ミク

おっいいねいいねって感じ(適当)。本当にズムサタで流れていた時はそれなりの感動があった。もはや常連であり、そうであることに何の疑問も感じないさせないあたりに改めて感嘆させられる。あとアルバム「MANNEQUIN」もとてもよかったですね。まあこの曲は収録されてないんですが。ストレートないい曲。

2.スコーピオンガールの貴重な捕食シーン/STEAKA feat.初音ミク

なんだこれ(驚嘆)。今までこんな曲聞いたことないと言うか、「こんな初音ミクを見たことない」の感覚に近いかもしれない。感情以前に直接的に感覚に作用してくる感じがして、とても良いと思います。こんな真似ボカロでしかできないし。完璧。

3.スイートリトルライズ/莉津 feat.可不

ダウナー系のよかった曲。冒頭の下降音形が刺さりました。ギターのジャキジャキしているのも好み。二番Bメロの韻の踏み方が綺麗で、そこも気持ちいいポイントです。こういうふわふわした曲が可不にはあっている気がする。

4.街/jon-YAKITORI feat.初音ミク

今年もプロセカです。johnさんもボカロ曲を久々に出してくれて嬉しい限りですね。カントリー調の曲なんですが、ビビバスの雰囲気にも適合していて、johnさんすげーとなっています。想起されるのはそういう風景じゃないはずなんですが、カントリーで郷愁って出るんだなと。

5.レリギオス/はねるさかな feat.初音ミク

今年の掘り出し物枠。ずっと手に汗握る緊張感があって、それでいてスッキリ頭に入ってくる名曲。鍵盤がかなり暴れているはずなんですが、なんでこんなにしっくりくるんですかね。サビの刻み方も見事。

6.君の夜をくれ/古川本舗 feat.初音ミク巡音ルカ

「君の夜をくれ」なんてタイトル、何食べてたら思いつくんですかね。とってもダウナーな曲なんですが、それでいて洒落ているというか、品があるというか、透き通っているというか。まあ要するに「素敵」な曲です。

7.雷・々・来/RED feat.知声

こういうアプローチも、ありそうでなかった。2000年代初期のポップスって感じがしてとても良いですね。vaporwave味も感じる。このボカロ(多分UTAUかと存じますが)もなかなかいい声を持っていますよねぇ

8.ゴールデンスランバー/Rulmry feat.星界

いい曲。ストリングスがしっかり押し出されていて美味しいなと思います。最近YouTubeくんがこういうマイナーだけどいい曲を流してくれる様になってとても嬉しいです。ちょっとポルカドットスティングレイっぽさも感じますね。

9.Pinocchio/Noz. feat.音街ウナ

今年もNoz.さんがやってくれました。どうしてこうもメロディーがいつもいつも刺さるのでしょうか。バックもボカロの使い方も一級品。あんまり言いたくないですが「もっと有名になってほしい」ボカロPさんNo.1ですね。聴いてください。

10.アイニーブルー/ZLMS feat.初音ミク

今年のNo.1です。まあこのメンツはずるい。「覚えてる?あの日のあのこと」でグッとくるというか泣きそうになるというか。旅行先の北海道で聴いたのですが、今でもそれがありありと思い出されますね。それぞれの良さがケンカしないでちゃんと残っている、素晴らしい作品だと思います。ぐうの音も出ない。

【歌ってみた・セルフカバー部門】

1.月光/キタニタツヤ×はるまきごはん

うますぎ。ボカロが良く、MVが良く、セルフカバーが良いという化け物です。それぞれの声がボカロ版でもセルフカバー版でも上手く使われすぎていて、語彙力が溶けます。それにMVも完璧に追随しているので、もう言うことないです。聴いて。

2.Flyer!/Chinozo→Vivid BAD SQUAD×鏡音レン

プロセカ。ビビバスの曲は最近かなり好みになってきました。ここまで挙げている曲(『街』『月光』『Flyer!』)が全てビビバスというのは一見異常なのですが、それほどに今年のビビバスは豊作でした。個人的な好みは「あの日夢見た夢が最強の上昇気流」の綺麗なハモリ。あんまここでやらないハモリな気がしますけど、こうカチッとはまっているといいですよね。

3.ハッピーシンセサイザ/Easy Pop→YUME YUME JUMP!

プロセカ再び。これはエイプリルフール企画なのですが、布陣が贅沢すぎる。というか曲にハマりすぎ。うまい。MVのアニメ感もいいなと思います。エイプリルフールに全力投球するプロセカ概念、最高に良い。

4.ミライ/有機酸→aruma

さっきのがOPだとしたらこれはEDですね。沁みるカバー。しかしまたビビバスだよな。「曇りガラスと陽の影が/映し出す雨/戸惑い」の部分を上手く歌っている人がいないかな〜と探していた時に見つけました。しっとりした歌い方も合う曲ですな。

5.エイプリル/mol-74→Sou

結構昔の曲らしいですね。最近Souさんをちゃんと追ってなかったのですが、久しぶりに聴いたらいいなあとなりました。チョロい。こういう爽やかだけど切ない曲にカチッとハマる、いい歌い手さんだと思います。ピアノがちょっとじっとりしてるのがいいですね。

6.ロウワー/ぬゆり→ばんけん

ここでまさかのインストカバーを。昨年の大ヒット曲『ロウワー』のピアノカバーです。とてもおしゃれにカバーされていて、良い。やっぱピアノってかっこいいよななどと。

7.88☆彡/まらしぃ→ワンダーランズ×ショウタイム

まらしぃさんらしいというか、色々な事象にかかったネタが散りばめられている素晴らしい曲。ストーリーを読んでから聴くと泣きそうになる。いい話。

8.神っぽいな/ピノキオピー→EMA

EMAさんの声マジで好き。選曲良すぎ。神。神っぽいじゃなく、神。

9.食虫植物/理芽

Live版が上がってて、超よかった。理芽さんも割と声が好みの枠に入るのですが、ライブでもちゃんと上手いと嬉しいですよね。曲も良いし。

10.Journey/DECO*27→プロジェクトセカイ

2周年テーマソング。プロセカをずっと見守ってきたといっても過言ではないだろう、DECO*27氏の力作に、歌唱力で応えた怪作。奏の「泣き顔もなんかいい感じ」が良い。プロセカやっててよかったな、と思いました。

【POPS部門】

これまで「その他部門」でしたが、あまりにも身もふたもないので新設。

1.ゴーストキッス/NOMELON NOLEMON

ツミキさんが立ち上げたバンド部門。「きっとあなたとあたしの涙は同じ色だ」という歌詞が非常にかっこいい。前からメロが好きな人ですが、生声になってもそれは変わらず。これからも追っていきたいなと思います。

2.銃の部品/PEOPLE1

まあ有名でしょう。某学園のCMソングでしたし。純粋にカッコええなと思っただけで、深いコメントなんざできやしないのですが、それもまたいいよなという話(?)。構成がなかなか斬新ですが、それでもいいよな。歌詞はキメラになんか似てる。

3.D(evil)/春野 feat.yama

これも……ずるいよなぁ……組み合わせが良すぎ。春野さんのチルな感じにyamaさんが合わさったら最強だとしか言いようがない。

4.過学習/Ado

伊根さんがAdoさんのアルバムに参加すると聞いた時は、それはそれはびっくりしたのですが実際びっくりするような曲ができました。これ。でもしっかりAdoさんっぽい曲ができていて、納得させられました。

5.Overdose/なとり

たまには流行りの曲も聞いてるんだぞ、ということを示していきたい。これいい曲だよな。ダウナー大好きおじさんなのでちゃんとハマりました。あといい声してる。

6.トウキョウ・シャンティ・ランデヴ/花譜・ツミキ

おいおいおいおいおい
なんだこの組み合わせ。MAISONdes名義でしか確かに成立しない組み合わせではないとは思うけど。????って感じでした。蓋を開けてみたら花譜さんが変わった歌い方してるし、ツミキさんがバチバチかましてるし、恐ろしい曲ができましたね。

7.青いキリン/ftrygry

なんだこれ?と思ったあなた。聴いてみてください。これはすごいです。

8.青く青く光る/Lanndo feat.ACAね

今年全体的に組み合わせがおかしいんですよね。ワールドカップじゃないんだから。実はこの二人は『秒針を噛む』で絡みがあるので一番妥当性があるといえばあるんだけど。これもいい曲だよな。ロウワーっぽい雰囲気を残しつつ、ACAねさん向けにリカスタムした感じがする。

9.藍より群青/夏代孝明 feat.星街すいせい

爽やか。まあどっちも「青」属性なのでピッタリですね。星街すいせい氏はかな〜り活動の幅を広げていて、とても面白い。これからどう引っ掻き回してくるのか楽しみでもあります。

10.ショートショート/ポルカドットスティングレイ

アルバム「踊る様に」より。名曲ですね。「全知全能」にオリジナルが入っていたらしいのですが、僕的には「踊る様にver.」の方が好み。こんなに「かわいい」失恋ソングがあるだろうか。メロディ大好きです。

【レトロスペクティブ部門】

1.メラメリ/Sasanomaly

今年ササノマリイさんは私立恵比寿中学『ヘロー』に編曲で参加されたのですが、これをめちゃくちゃ想起される。エビ中が好きな人は是非こちらも聴いてみてください。優しい耳あたりの良い曲です。

2.リルビィ/空白ごっこ

聴くの遅すぎ。電ポルPさんは昔から大好きなのですが、今年とある事情で空白ごっこに足を突っ込んだら見事にこうなりました。かっこいい。

3.SCREW/蝶々P feat.可不

お恥ずかしながら蝶々Pさんが可不曲を出していらっしゃることを今年知りまして……蝶々Pさんらしいピアノが上手く効いた名曲。定期的に摂取したくなるんですよね。イケメンピアノは正義。

4.IMAWANOKIWA/いよわ→芥 ゆふ

今年見つけた名カバー。いよわさんの曲らしく、非常に難易度が高いのですが、綺麗に収めていて良いなと思いました。スッキリとして口当たりの良い仕上がりです。

5.Blue Star/八王子P feat.初音ミク

MIKU EXPO(海外向け初音ミクライブ)の総集編を見ていて度肝を抜かれた曲。なんと2016年の曲なんですが、こんなにゴリゴリエレクトロなんですな。良い。さすが八王子Pさんと言わしめる一曲。

6.MOGARI/かいゑ feat.初音ミク

かいゑさんは「十五少女」絡みで知ったのですが、なかなかかっこいい曲を書く方です。特にこの曲はスピード感のある展開で聴いてて楽しい。それでいておしゃれでかっこいいという、まるでカクテルの様な曲です(上手いこと言ったつもり)。

7.ミラーリング/バルーン feat.初音ミク

バルーンさんがまだ初音ミクを使っていた時代、というとかなり昔に感じる。実際それなりに昔の曲なんですが。というか『シャルル』から6年経っていることが信じられないですね。こう聴くとまたすごい。

8.Moonlight/shima feat.VY1

超絶ダウナーな曲。言葉の連なりが耳に心地よい。この曲は「歌詞も音楽の一部」という様な乗せ方をしていてすごいと思う。

9.フライディ・チャイナタウン/泰葉→稀羽すう

なんか最近昔のシティ・ポップが流行っているらしく、追随してみた。こういうのもいいよね。

10.アサガオの散る頃に/ぷす feat.初音ミク

プロセカ収録おめでとうございます。すごく良い曲です。収録のタイミングが素晴らしすぎて完璧なタイミングで聴けた気がする。

 

以上、今年の音楽レポートでした。見て分かる通りコラボが豊作でしたね。みんな仲が良くてよいことです。

一足早いですが、良いお年を〜〜〜

渋谷と飲食チェーンの話

東京に来て、自分がかなり驚いた事実、そして話すとそれなりにウケが取れる事項として、「渋谷にミスタードーナツがない」ことが挙げられます。渋谷にミスタードーナツがないのは実は微妙に不便で、ドーナツを得るために下北や新宿や高田馬場に行くことがままあるのですが、そんな事情を渋谷が汲んでくれるわけではありません。

愚痴はこの辺にして。今回は「渋谷に『飲食チェーン』の店舗がどれくらいあるのか」という問題を提起し、その解決を図ろうと思います。というわけでレギュレーションを用意しました。

【レギュレーション】

① 「飲食チェーン有名店」として、日本ソフト販売株式会社が出している「飲食店チェーンの店舗数ランキング」のうち、「ファミリーレストラン」「ファストフード」「カフェ・喫茶」からそれぞれ上位5チェーンを用いることとします。

② 「渋谷」を大体以下の範囲と定めます。

図中黒線に囲まれた範囲を「渋谷」とする

厳密に定めておくと、

・地下鉄千代田線
明治通り
東急東横線
・山手通り

に囲まれた範囲です。いわゆる「渋谷」に比べるとやや広い範囲ですが、まあいいでしょう。

というわけで、検証、スタートです。

 

1.ファミリーレストラン部門

1位:ガスト

ファミリーレストラン(以下ファミレスと記述)の中で最も店舗数が多いのはガストです。まあこれは予想できる結果でしょうか。早速渋谷の店舗を調べてみると、

・渋谷駅前店
・渋谷桜丘店
渋谷道玄坂
・渋谷宇田川町店

の4店舗ありました。それなりに「いっぱいある」と言えるでしょう。特に渋谷駅を中心としてかなり密集して配置されていますから、渋谷を歩いていると良く見かけます。これはさすが渋谷、という感じですね。

2位:サイゼリア

格安イタリアンファミレスとして有名なサイゼリアが2位にランクイン。東京にいると確かに割と見かけます。渋谷には

・渋谷東急ハンズ前店

の1店舗しかありません。山手線周りをざっと見てみても、新宿駅周辺を除けばサイゼリアはあまり密集していない、という特徴があるように感じます(新宿駅周辺には4店舗くらいある)。ガストとサイゼリアの店舗数差は300ほどなのですが、この密集度の差が出ているのかなと思われますね。

3位:ジョイフル

3位はジョイフル。ジョイフルって行ったことあったっけな……と思いましたが、どうやら西の方に多いみたいですね。どうりで東京で見ないわけです。このジョイフル、渋谷周辺にはありません。というか東京都にも4店舗しかない。山手線の内側だけ見たら赤坂に1店舗あるのみです。

4位:ココス

ジョイフルと同様の分布を示すのがココスです。ただしココス自体は東京都全体で見ると結構あります。しかし、渋谷には店舗はなく、山手線の内側だけ見ると秋葉原、白山にそれぞれ1店舗あるのみとなります。ココスは東京に来てから全く見ていないな、と感じていましたが、どうやら正しかったようです。

5位:バーミヤン

中華ファミレスの代名詞ことバーミヤンは、少し事情が異なります。渋谷周辺には、エリアぎりぎり外側となる神宮前店を除くとありません。しかし山手線内側を含め、いわゆる「都心」エリアにはそれなりに店舗があります。新宿駅周りにも2店舗はあるようです。これを見ると渋谷にないのは結構謎ですね。まあラーメン屋や中華料理屋がひしめく渋谷ではなかなか生き残れない、なんて事情があるのかもしれませんが……

 

2.ファストフード部門

1位:マクドナルド

ファストフード部門1位はハンバーガーショップであるマクドナルド。ファミレスと同様予想できる結果でしょう。渋谷にも

・渋谷店
・渋谷東映プラザ店
渋谷センター街
・渋谷MIYASHITAPARK店
・渋谷新南口店

の5店舗が存在します。ちなみに日本にある店舗数はガストの二倍超。それを加味すると渋谷には少ないと言えるのかもしれないですね。

2位:ほっともっと

2位はほっともっと。ほっともっと……??ここファストフードに分類されるんですね。多分あのお弁当屋さんだと思うのですが。渋谷には店舗なし。まあこれについては頷けますね、他の飲食店が「ない」場所にあるイメージはあるので。山手線内側にはそれなりに店舗ありますし、山手線の西側にはたくさんありました。ほっとほっともっともっと。

3位:モスバーガー

3位はモスバーガーモスバーガーが好きって人は周りに割と見かけますね。渋谷には

渋谷道玄坂
・渋谷公園通り店
・渋谷円山町店

の3店舗あります。ほっともっとはマクドナルドに店舗数で割と食らいついているのですが、モスバーガーはほっともっとにダブルスコアを付けられています。それでこの成績、というのはすごいのかもしれないですね。まあサイゼリアよりは店舗数多いのですが。

4位:ケンタッキーフライドチキン

4位はケンタッキーフライドチキンでした。個人的には結構好きなんですけどね、ケンタッキー。店舗数で比べるとサイゼリアよりちょっと多いくらいです。渋谷には

渋谷道玄坂

の1店舗のみです。東京都心をざっと見渡しても、ほっともっとに比べたら分布はまばらですね。

5位:ドミノピザ

実はピザ店もファストフード属性らしいです。渋谷には店舗なし、まあ渋谷でピザチェーンを見かけたことはない気がしますね、、ざっと調べてみましたが、ピザーラが一店舗だけありました。これも渋谷駅周辺、というよりは住宅街の方だったので、まあ中枢にピザチェーンはないのだろうなという結論に至りました。おしまい。

 

3.カフェ・喫茶店

1位:スターバックスコーヒー

カフェ部門堂々の一位はスタバ。ちなみに店舗数はマクドナルドの方が上です。渋谷でもかなり見ますが、実際に店舗数を数えてみると以下の通り。

渋谷マークシティ
・SHIBUYA TSUTAYA
・渋谷モディ店
・渋谷文化村通り店
・渋谷パルコ店
・渋谷ファイアー通り店
・渋谷公園通り店
・MIYASHITA PARK店
・渋谷フクラス店
・渋谷スクランブルスクエア店
・渋谷ストリーム店
・代官山T-SITE店
・代官山蔦屋書店

なんと13店舗もあります。渋谷恐るべし。代官山はずるいだろ、という話もありますが、上記範囲外に渋谷ヒカリエShinQs店、渋谷クロスタワー店、渋谷2丁目店もあるので「渋谷」とつく店舗だけで13店舗あるといえます。ちなみに興味本位で新宿も見て見たら大体同程度でした。これまでの店舗と異なり、大きめの駅の周りに密集するという特徴が見られます。

2位:ドトールコーヒーショップ

2位はドトールでした。スタバとの店舗差は700くらいです。渋谷だけでみると

・渋谷神南1丁目店
・渋谷井の頭通り店
渋谷センター街
・渋谷新南口店
・代々木八幡店

・渋谷公園通り店(EXCELSIOR CAFE)

の6店舗です。こう考えるとスタバの恐ろしさが分かりますね。いやドトールも十分いっぱいあるんですが。ちなみに山手線の外側に出ても、京王線小田急線のほぼ各駅に配置されているという特徴があります。見てて面白い。

3位:コメダ珈琲店

ここはなかなか予想が難しいところだと思います。コメダでした。あの大容量で有名なところですね(雑)。渋谷には

渋谷道玄坂上店

の1店舗のみ。全国の店舗数ではドトールとあまり変わらないので意外な結果になりました。しかしよく考えるとコメダは名古屋の会社。実際名古屋を見るとかなりの数があるので、東海地方にも店舗が集中しているというのもあるかもしれません。

4位:タリーズコーヒー

4位はタリーズ。昔タリーズのストラップみたいなのを持っていた記憶があるのですが、あれはどこへ行ったのでしょうか。渋谷には以下の店舗が。

・渋谷東急本店前店
・渋谷ソラスタ店
・渋谷ファイアー通り店
・東急プラザ渋谷(店名なし)
・渋谷スクランブルスクエア(店名なし)

5店舗ありました。なんと上位にあるコメダより多いですね。コメダは店舗が大きめ(テーブルとかもしっかり大きい)のに対し、タリーズはスペースが小さい(スタバに似ている)というのもあるのかもしれません。まあスクランブルスクエアのタリーズは非常に大きいんですが(筆者のお気に入り)。

5位:快活CLUB

快活CLUBはカフェらしいです。色々とツッコミどころが多いですが。ちなみに渋谷には店舗がありません。そしてコメダより店舗が少ないというのはやや意外な結果かもしれないですね。

参考) 6位:サンマルクカフェ

さすがに快活はカフェじゃないだろ……という人向け。次点はサンマルクでした。渋谷には

渋谷道玄坂
・渋谷公園通り店

の2店舗があります。チョコクロ美味しい。

 

以上、渋谷にある飲食店比較でした。個人的な印象ですが、渋谷は一部のチェーン(スタバとか)が発達している代わりにその他のチェーンはあまり集中しておらず、単発の店が多いように見えます。まあミスドもないしね。

かなりの自己満記事になりましたが楽しんでいただけたのであれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

山梨旅行記

ボカロ以外の話を投稿するのは久しぶりになります。
8/11(木)に山梨方面を旅行したので、その模様をお届けします。

動機

山梨へ行こう、と思ったのは旅行する前日のことです。というかそもそも旅行をしようと思い立ったのが前日のことだったのですが。
この週は木曜を除く平日は一日中バイトをしており、たまにはお外に出かけたいと思っており、またせっかくぽっかり空いた日があるので、突発的な旅行をしたいという意図がありました。当初は千葉方面へ行き、いすみ鉄道あたりに乗ってやろうと画策していたのですが、ここは春か秋に訪れたいという思惑から流れました。

それから白羽の矢が立ったのが山梨になります。実は自分は山梨県に降り立ったことがなく、せっかく東京にいるのだから訪れておきたいと考えていました。そしてこの夏は山形にいくことが決まっているので、山梨に行けば本州全都府県制覇……というのは後々気づいたのですが*1。以上の理由から、山梨に訪問することが決定しました。

〜出発

まず考えなければならないのは、「どのような切符でいくか」ということでした。休日おでかけパスは大月までしか使えず、青春18切符は9/10までに使い切ることが無理、この時点でほぼ手詰まりです。よって普通に往復の切符を買うことにしました。まあ学割が効くので多少は安くなります。

(ちなみに東京から山梨へは、順当に考えるとバスが一番安い*2のですが、後述する「訪れたかった場所」があったのと、鉄道旅がしたかったという理由から廃案になりました。)

これを決断したのが当日の午前4時、なかなかギリギリを攻めています。幸いなことに、またありがたいことに新宿駅南口の「みどりの窓口」は午前5時30分から開いているので、そちらで切符を買わせていただきました。とある理由から多少手間取ったのですが、その話は追々。

山梨へ

午前6時ちょうどの中央線快速で西へ向かいます。朝早いので酔ったサラリーマンらしき方を拝見するなど、なかなかカオスな空間になっていました。まあ休日ですからね*3

新宿駅。夏なのでもう明るいですね。

道中はほとんど寝てました。先ほど午前4時の描写があったことからも分かると思いますが、前日ほぼ寝ていません*4。記憶があるのは荻窪あたりまでです。

起きたら終点・高尾駅でした。まるで寝過ごした人ですね。そういえば隣に座っていた方は新宿の時点で爆睡していらして、高尾で降りていらっしゃった記憶があるのですが大丈夫だったのでしょうか。ちなみに車内はサイクリングをしにいく人や、山登りに行く感じの出立の人々でそこそこ混んでいました。

高尾駅甲府行きに乗り換えます。

揃い踏み。やや見えにくいですが、奥の方に自分が乗車した211系も停車しています。

高尾で山登り勢は降りるかな、と思いましたがここから先もそれなりに混んでいてびっくりしました。よくよく考えたら高尾山に登る人は京王線高尾山口駅を利用するんですかね。そっちの方が安そうだし。とはいえ座れないというわけでもなく、なかなか快適な道のりでした。

途中四方津駅運転停車。「よもつ」じゃなくて「しおつ」なんですね。ちなみにここから山梨県なので、自分が初めて降り立った山梨県内の場所は四方津駅ということになりました。何気に10分くらい止まっていたと思います。逆に、大月駅にはあまり止まらなくてびっくりしました*5。電車は山を越え、甲府盆地へ入って行きます。

ずっとスマホをいじっていたのですが、ふと目を挙げるとこんな景色が。

きれい。

向こう側はぶどう農園……だと思います。駅名標にもそう書いてますし。

この感じでがたごとと進んでいくと、山梨市駅に到着します。
山梨市駅は自分が訪れたかった場所その一です。厳密には山梨市駅というより山梨市に行きたかったんですが。またバスではなく電車で行ったのはここへいくためです。「山梨」県「山梨」市なのですが、ここは県庁所在地ではない、というのは皆さんご存知の通りでしょう。このような例はここと、沖縄県沖縄市くらいしかなかったはずです(そうですよね……?)。

駅前は思いのほか都会で、駅もかなり綺麗でした、というか最近建て替えしたっぽいです。駅の前にはでかめのオブジェがあったのですが、オブジェだけでなくその周りのベンチに人や犬の像があるのがやや怖い。少なくとも知らない状態で見ると驚くと思います。像が何気にかなりリアルなのがそうさせるんでしょうね、、

これは駅前ではなく駅「中」にあった像。桃の下にあるのは葉ではなくぶどう。

朝早かったので周りのお店もほぼ開いていませんでした。実はこの時点でまだ朝ごはんを食べていなかったので少々残念。仕方ないので駅にあった完全無人のコンビニでチョコを買って食べました。完全無人のコンビニってすごいですね。

甲府

山梨市駅を出ると、もうすぐに甲府駅です。こちらは県庁所在地。甲府盆地のほぼ正面に位置します。
甲府市街地は、駅の北側が武田神社門前町、南側が甲府城を中心にした城下町、と言った感じのスタイルをしています。とりあえず、北にある武田神社の方へ歩いてみることにしました。道がまっすぐ神社の方へ伸びているので非常に分かりやすい。

途中山梨大学があったり

山梨大学放送大学も併設されている。

山梨大学の略称が「梨大」で、それを冠したバス停「梨大北」のバス停表示に梨があしらわれていないのに違和感を覚えたり(そしてその写真を撮り忘れたり)していると神社につきました。

……とさらっと書いておりますが、なかなかに遠かったです。しかも暑い。いや東京よりは涼しいですが。それでも暑いです。
神社はこじんまりとしていました。名前の通り、というか地域柄、というか武田信玄公ゆかりの神社らしく、いろいろグッズやら目録やらがおいてました。

あとキティちゃんがいました。

凛々しい

どうしてキティちゃんがいたのかは、謎です。サムライ(武田信玄公)の国ですね。

神社を出て帰ろうとしたのですが、ここで現金がないことに気が付きます。流石にこの暑さの中、そこそこの距離を歩いて下るのは骨が折れます。いや骨は折れませんけど。
幸いなことに神社から甲府駅まではバスが通っており、これに乗れば万事解決なのですがお金がなければ乗れません。悲しいことにこの辺りには銀行もATMもコンビニもありません。万事休すーー

 

一瞬焦りましたが、ありがたいことにPASMOが使えました。ありがとう山梨交通。ありがとうPASMO

神社の前から撮った写真。駅からは少し上りなのでやや俯瞰視点です。

なんとか甲府駅に戻り、今度は駅の南側に繰り出します。ちなみに南側の方がやや都会です。
県庁所在地ということで、駅前に山梨県庁があるのですが、県庁にはいわゆる「役所」や「議会」だけでなく博物館がいくつか併設されています。役所もレトロモダンな雰囲気で、それがうまく取り入れられていたのが良かったですね。

ちなみにあったのは「近代人物館」と「ジュエリーミュージアム」。レトロモダンな雰囲気と言いましたが、展示自体は小綺麗で良かったです。無料なので甲府に訪れた際は是非。ちなみに、山梨にゆかりのある人物投票的なイベントが開催されていて、クリアファイルをいただきました。

しばらくしてご飯を食べます。結局朝ごはんにはありつけなかったので念願の初食事です。折角山梨にきたということで、名物のほうとうを。

ほうとう

味はうっすらと味噌味。優しい味で美味しかったですね。しかしどの店に行ってもかぼちゃほうとうが推されていて(なんならこの店にはかぼちゃほうとう以外の選択肢がほぼなかった)、ほうとうってそういうもんなんだなぁと思ってました。野菜もたっぷりで、体にも優しい感じがしました。

さて、お腹も満たされたところで、次の目的地へ向かいます。

野辺山へ

鉄道に詳しい方はご存知かと思いますが、甲府からしばらく行くと、小海線という路線があり、ここにはJRで最も標高の高い駅、野辺山駅があります。甲府に行くついでに寄っておこうと思い、ルートに組み込んでいたのですが、これが割とややこしく

小海線はそもそも本数が少ない
中央本線甲府駅から本数がやや減る
中央本線から小海線への乗り継ぎが悪い

という問題点があり、いい時間を見極めていかなければなりません(そのため甲府ではけっこうピリピリしていました)。なんとかいい時間を見つけ、甲府駅を出発します。

中央本線*6をさらに西へ進み、小淵沢駅に到着しました。ここでも爆睡していたので記憶はあやふやですが、とりあえず終点まで行けばいいのでOKです。さて、ここでは待ち時間が30分ほどある予定なのですが……

車内放送「小海線の電車は4番線に停車している〜」

停車している???隣のホームに目をやると、確かにそこには電車がありました。やたら入線早いなと思っていたら、なんともうすぐ出発するとの放送が。あわてて野辺山駅に停まることだけ確認し、乗り込みます。どうやら臨時の快速だったらしい。

臨時列車。種別の表示はなく、「臨時」としか書いていない。

中に入ると快速だとわかる。しかしこれらの駅全てに止まるわけではないので注意が必要。

ホームは弓道の用具っぽいものを持った高校生でひしめいていましたが、次の列車には乗らないらしく、臨時列車が出ているのにホームが混むという謎の状況になっていました。

小淵沢駅のホーム(にある駅名標)。小海線仕様です。

ともかく、待ち時間が短くなったのはラッキーなので、喜び勇んで臨時列車に乗り込みます。乗り込んでからよくよく調べてみると、「八ヶ岳高原列車」という臨時列車でした(JR東日本による案内)。夏休み期間だけ運行されているそうです。車内には、鉄オタっぽい方がちらほらいらっしゃって、熱心に写真や動画を撮っていました。小淵沢を出るとすぐ「大曲」という有名な撮影スポットがある(らしい)のですが、乗っている分にはそこまでカーブを感じませんでしたね。

一応快速という触れ込みなのですが、野辺山までは各駅に止まります。ですが普通列車よりも案内がしっかりしている(気がする)。
のんびりしていると、すぐに野辺山の近くまで到着しました。野辺山駅の手前には、JR路線の「最高地点」があり、しっかりとアナウンスもしてくれます。ちなみに最低地点は青函トンネルの中なのでなかなかお目にかかれません(し、訪問できるのもごく限られた場合だけでしょう)。現在運用されているJRホームの中での最低地点は東京駅の京葉線ホームだそうです。

野辺山駅に到着。

噂には聞いていましたが、想像以上に涼しくてびっくりしました。風も通っていて、気持ちいくらい涼しいです。

野辺山駅。建物も特徴的な形をしている。

さて、さきほど小海線は本数が少ないと書きましたが、帰りの電車まで2時間弱あります。とはいえやることがないわけではありません。先ほど通過した最高地点に歩いて行きます。周りは山ですが、最高地点まではほぼ平地、歩いても30分もかかりません。さらに、ここは高地であるため気温も高くない、歩くのに絶好のロケーション(と距離感)でしょう*7

道中はほぼ畑で、見たことないくらいでかい農用車が通っていました。自分の祖父母もそれなりの田舎に住んでいるはずなのですが、ここまで大きいのは見たことないですね。キャベツとかが植わっていた記憶があります。

壮観

晴れているのもあって、景色はすごぶる綺麗でした。手前の線路が小海線のもの、奥に見えるアンテナ的な建物は、近くにある国立天文台の観測所です。

さて、特にトラブルもなく最高地点付近に到着。周りにはホテル、レストラン、小さめの広場などがあり、それなりには栄えている感じでした。休日だからか、親子連れもちらほらいるくらい。レストランの向こう側には国道(141号線)が通っており、トラックもかなり通過していました。交通の要衝ですね。

傍にある鉄道神社(御神体が線路?)に参拝し、いざ最高地点へ。

俺が最高だ(JR比)

写真にも写っているように、ここには「幸せの鐘」なる鐘があるのですが、ここに行くのがやや大変でした。岩の段差が大きすぎる。幸せに辿り着くには苦労が必要だ、ということを表しているのでしょうか。これも写真に写っていますが、最高地点(付近)には踏切があります。といっても、一時間に1~2本ほどしか電車は通らないのでほぼ開きっぱなしですが。奥には鉄道神社の鳥居も映ってますね。

ところでこの地点、実は山梨県ではなく長野県です。図らずも、山梨県をほぼ横断する結果となりました(ちなみに先ほど乗り換えに使った小淵沢駅は、中央本線山梨県の一番西にある駅です)。そして、この県境は実は最高地点のすぐそばにあります。というわけで足を伸ばしてみました。国道沿いにあるのでやや怖いですが、路側帯や歩道が比較的ちゃんとしているのでそこまで酷な道のりではありませんでした。

県境

この「清里」というのは野辺山駅の隣駅、清里駅にも使われています。清里駅はJRで2番目に標高が高い駅なんだとか。この県境には「境川」という川が流れています。なかなかに安直なネーミングですね。

境川。さっきの写真とは逆方向の(長野県側を向いた)写真です。

さて、奥の方に「南牧村」と書いた表示が見えるでしょうか。南牧村は長野県の地名ですが、実は県境自体は川の上を通っており、上の県境・境川の写真を撮っている時、自分は厳密には山梨県にいることになります。面白いですね。

満足したので駅のほうへ戻ることに。こっちはバスも通っていないので、自力で行き来する必要があります。がんばりましょう。といっても、そんなに過酷なものではなかったですが。

駅前でソフトクリームをいただきました。実は武田神社の前でぶどうソフトクリームを売っていたのですが、現金がなく食べることができなかったという悲しい過去があります。八ヶ岳周りでは酪農も行われているらしく、牛乳を使ったソフトクリームでした。美味かった。

ソフトクリーム。涼しいからといってぼーっとしていると溶けて手がベタベタになった。

野辺山駅前もそれなりに栄えていて、近くにSLがある公園があり、子供含め人もたくさんいました。観光産業はそれなりに成功しているようです。

やっと帰りの電車が来たので、甲府に向けて折り返します。

復路① 〜甲府、再び。

小淵沢を経て甲府へ戻ってきました。今回は小淵沢駅での乗り換え時間がそれなりにあったので降りてみましたが、時間が微妙になく、何もできずに退散しました。今度は中央本線を起きたまま乗っていたので、綺麗な景色が堪能できました*8

街中に突然崖がある。

すっかり日も傾き始めたころ、甲府駅に到着します。帰りの電車は20時前なので3時間弱ほど時間がありました。晩御飯の前に行っておきたかった場所へ。

でん

そう、アニメイトです。
自分はそこまでアニメに詳しくないのですが、各地のアニメイトを巡るという趣味があり、当然甲府も回収しようと行った……のですが。

逆になぜマッサージチェアがあるのだ

何にもありません。先に断っておくと上の写真はアニメイトがあった2階の写真ではなく1階の写真です。実は朝ここに立ち寄っており、先ほどあげた外観の写真はその時に撮ったものなのですが、開店時間すぐだったのでまだ開いていないだけだと思っていました。

しかし実際には閉店しており、甲府駅からかなり距離のあるイオンモール甲府昭和の方へ移転していました。なんてこったい。同階にあるらしんばんも閉店し(同じくイオンモール甲府昭和に移転し)ており、2階は本当に「もぬけの殻」という状態でした。午後に行くとダンスの練習に使われていました。屋内で涼しいし、人もほぼ来ないですしスペースもありますもんね、、

上の写真からもわかる通り、かなり哀愁漂う状態です。ほとんどの店が閉店しているにも関わらず、電気も煌々とついていますし、空調も効いていました。つまり商業施設として閉まったわけではないみたいです。それが逆に廃墟感がありますね。一応地下のダイソーは開いているみたいで、のちに献血会場ができるようですが……これもコロナの煽りなのでしょうか。

やるべきことも終わってしまったので、晩御飯を食べに行きます。メニューは山梨が誇るB級グルメ、鳥のモツ煮をチョイス。

左上がモツ煮。蕎麦とご飯・小鉢付き。

モツ煮はいろいろなモツが入っていて、食感とりどりという感じでした。鳥だけに。

蕎麦も美味しかったのですが、麺が短く、食べるのに少々の苦労を要しました。そういえば行きに通ったどこかの駅に「蕎麦切り発祥の地」という看板が置いてありましたね。

たしかなまんぞく。ご馳走様でした。

早めの晩御飯を食べ終わり18時ごろです。帰るまで2時間ほどあるのですが、なんとここでやることが尽きてしまいました。これは誓って甲府に何もないというわけではなく、施設の閉まる時間が早いことが原因です。19時にもなると開いている場所は、飲食店を除くと駅前の商業施設とヨドバシカメラしかありません。

晴れ間が神秘的

というわけでその駅前の商業施設とヨドバシカメラで時間を潰し、帰りの電車を待つことになりました。甲府城の方は開いていたっぽいので、時間があれば行ってみてください。
帰りの電車をもう一本後にする案もあったのですが(1時間後ぐらい、終電)、早めにしてよかったなぁと思いました(小並感)。逆に泊まりにすればもうちょい旅の幅は広がりそうですが。

なんとか夜まで時間を稼ぎました。

空が青い(群青)

道の向こうにあるのは「甲州夢小路」という商店街っぽいところ、そして奥には甲府城天守閣が見えています。右奥には甲府駅が見えますが、何気にオレンジの車両(中央線快速でお馴染みのE233系かとも思いましたが多分身延線で使ってる313系ですね)が写っています。身延線のホームは中央本線のホームの奥にあり(つまりホームを共用している)、京都駅の嵯峨野山陰線を彷彿とさせる作りになっていました。

復路② 〜さらば山梨

さて、ついに山梨を去る時がやってきました。行きは寄り道をしていたのですが、帰りは特急「あずさ」で新宿までひとっ飛びです。停車駅が少ない(八王子・立川のみ)ので、文字通りひとっ飛びという感じでした。

じつは特急「あずさ」、自分が東日本で一番好きな(広義)電車です*9。好きなポイントはいろいろあるんですが特に名称と色ですね。このくすんだ紫みたいな色が美しいと思います。
ご存知の方もいるかと思いますが、甲府から新宿方面へ行くには他にも特急「かいじ」という手段があり、なんならこっちの方がメインなのですが、自分は「あずさ」への強いこだわりがあったのであずさに乗りました。いつか松本方面へも行ってみたいですね。

かっけえ。新宿駅にて撮影。

さて「あずさ」に乗車。席間がやや狭い感じがしましたが、ヘッドレストも可動式でなかなか快適でした。「あずさ」を堪能……しすぎましたね、疲れもあり爆睡していました。この旅何度目かの爆睡です。まあ終点は新宿なので、寝過ごす心配もありません。21時14分、新宿に到着。わずか1時間半ほどの道のりでした。

無事帰還

最初の写真と見比べていただくとわかりますが、路線のカラーリングが中央線快速のオレンジ色ではなく、中央本線の青色になっていますね。隣の駅も立川になっており、まさに「あずさ」「かいじ」用のホームといった印象です。というか他路線接続駅の荻窪や吉祥寺を通過するのはなかなか攻めてますよね。まあ気持ちはわかりますけど。

さて、無事新宿に帰ってきたということで、旅はこれでおしまいとなります。

おまけ

さて、Twitterの方に以下のような問いを投げていました。

おまけクイズ
今日私が使った乗車券の区間は、どこからどこまででしょう?

ヒント
使った乗車券は往路復路で一枚ずつのみです。フリーきっぷなどは使っていません。

これの解答をここで発表したいと思います。

正解
(乗車券):東京都区内(新宿)〜信濃川上の往復乗車券
(特急券):甲府 → 新宿 (あずさ54号・指定席)

でした。信濃川上駅は、野辺山駅の一つ向こう側の駅です。このような切符の取り方をした理由は「途中下車したかったから」です。途中下車について、JRの規則は以下のようになっています。

・「途中下車」とは、旅行途中(乗車券の区間内)の駅でいったん改札口の外に出ることをいいます。次の例外を除き、乗車券は、後戻りしない限り何回でも途中下車することができます。
・次の表のきっぷでは途中下車できません。
 片道の営業キロが100キロまでの普通乗車券
 大都市近郊区間内のみをご利用の場合の普通乗車券
 回数券
 一部のおトクなきっぷ
 特急券急行券、グリーン券、寝台券、指定席券、乗車整理券
(出典:JR東日本HP)

新宿〜野辺山の営業キロは(複数乗換案内によると)186.8キロらしいので、一つ目の条件はクリアしています(流石にこれは確認していきました)。しかし、二つ目の条件をクリアしていないのです。正直これは盲点でした。「みどりの窓口」で聞いておいてよかった。

大都市近郊区間は、以下のページのように定められています。

www.jreast.co.jp

なんと小海線では野辺山駅までが東京近郊区間に含まれており、ここまでの切符では途中下車をすることができません。というわけで野辺山駅の一つ向こう、信濃川上駅までの切符を買ったというわけです。

冒頭に書いた「切符を買うときに少し手間取った」というのはこの話で、駅員さんの指摘によりことなきを得ました。朝早くに面倒な客に対応してくださり本当にありがとうございました。

締め

というわけで非常に長くなってしまいました(このブログでも最長クラスではなかろうか)が、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

再来週はいよいよ山形へ、本州完全制覇の旅となります。ここまでいろいろなところに行けているのも、家族旅行で様々な場所へ連れて行ってくれた両親のおかげです。本当にありがたいですね。

山梨は自然も豊かで、観光スポットもいい感じにあり、眺めも素晴らしいいい場所でした。ぜひみなさん行ってみてください。

*1:本州で直近行った未踏県は新潟、全国まで広げると佐賀・長崎です。山梨・山形を制覇すると残る未踏県は高知・宮崎・鹿児島のみになります。

*2:最近はJRも安めの切符を出しているのでこの限りではないかもしれない、旅行に行く際はご自身でお調べになることを強く推奨します。

*3:山の日

*4:一応言っておくと徹夜をしていたわけではなく、1時ごろに寝たらそれくらいに起きてしまった、というカラクリです

*5:大月駅は中央線快速の端っこでもある、いわゆる「ターミナル駅」。余談だが周りに何もないので、深夜の中央線快速でここまで寝過ごしてしまうと地獄、という駅として有名。

*6:ご存知の方もいるかと思いますが、「中央線」「中央線快速」は中央本線の一部区間(東京〜高尾あたり、一応大月まで快速が来ることもあるんですが)の愛称で、こちらが正式名称となります。

*7:ちなみに、甲府駅武田神社野辺山駅〜最高地点はほぼ同じ距離(2.2kmくらい)。

*8:終点が甲府ではない(確か大月駅)ので乗り越す危険があった

*9:ちなみに西日本ではスーパーはくと(HOT7000系)、オーシャンアロー(283系)、リレーつばめ(787系)あたりが好き。