目黒川お花見道中記

目黒川へ花見に行った。ただそれだけのことなんだけれども。

 

※今回は語り口がいつもとやや異なります。ご了承ください。

 

背景と動機

春の麗の目黒川

どうやら、自分にはバイトの中日に思いつきでレジャーに行く性があるらしい。件の山梨旅行も、バイトの中日だった。

 

↓よんでね

sprechchor-on-correct.hatenablog.com

 

三月の最終週は、月・火・木・金とバイトで、水曜日が空いていた。おりしも桜が満開の時期である。したがって、花見に行くことにした。

目黒川は桜の名所である。もちろん桜の名所は東京にたくさんあるのだが、ある理由から自分は目黒という土地に愛着を持っているので、自然と目黒に行くことになった。

 

すたーばっくす

目黒にはスタバがある。スタバは東京にありふれた存在であり、別に特筆すべきものではない。ところが、目黒にあるそれはとても「強い」のである。

 

↓詳しくはwebで

www.starbucks.co.jp

 

その名をSTARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYOという、なかなか癖の強いスタバなのである。

 

一応知識を整理しておこう。

STARBACKS RESERVE®というのは、スタバが提供している特殊なコーヒー豆である。豆自体を取り扱っている店は、割と色々なところにある。わかりやすいところで言うと東京駅にある丸の内オアゾや、東京ミッドタウンあたりだろうか。別に東京にこだわる必要もなく、さまざまな都道府県で提供がなされている。

そして、その豆を提供している店の極値が、件の店である。なんと世界に6店舗しかない。そしてそのうちの一つが目黒にある。急に話が壮大になってきた。

 

もちろん、かなり人気な店である。スタバ自体がそれなりの人気を誇っているが、ROASTERYに関しては桁違い、数時間待ちがザラという世界観である。

自分も、前日にTwitterで検索をしてその事実に辿り着いた。Twitterは便利である。予想はしていたが、しかしここまで待つものなのかという驚きもあった。なんなら開店時に行列ができるレベルらしい。恐ろしや。ただ、店は22時までやっている。時間さえ選ばなければ、そして待つことを厭わなければ*1、そこまで無茶な話ではない。店に入ること自体は。

 

桜と人々とスタバと

話はそう単純ではない。

 

件の店には、テラス席なるものが存在する。

店は目黒川沿いにあり、当然ながら目黒川の桜がよく見える。このことから、テラス席はかなり人気になることが予想される。自然な帰結である。

スタバとてそう馬鹿ではない、この混雑を見越して、テラス席の利用は整理券制となっている。そして、繁忙期には店舗周りの混雑を避けるため、入店も整理券制となる。

 

この二つが噛み合わさり、現在この店はなかなか恐ろしいことになっているのである。ここまで読んだだけだと、「なんだ、整理券を二つ取ればいいだけではないのか」と思うかもしれない。確かに、整理券が残ってさえいれば、そこまで過酷な話ではないように見える。

 

繰り返すが、話はそう単純ではないのである。

 

ここで、上記した公式サイトから、『桜開花時期のテラス席ご利用について』を参照してほしい。そこには、こんな一文がある。

ロースタリー東京に入館いただいた後、館内にある端末にて発券手続きをお願いいたします。

つまり、テラス席を利用するための手順は、正確にはこうである。

 

入店整理券を取る→待つ→入店する→テラス席整理券を取る→待つ→テラスに入る

 

もちろん、運が良ければ、もしくは早い時間に行けば入店した時点のテラス席を確保できる。しかし今は繁忙期、そうは問屋が卸さない。すなわち、テラス席に行くには莫大な時間が必要になるのである。

花は桜?

花よりコーヒー

物は試しである。とりあえず行ってみることにした。

ロースタリー東京は東急線中目黒駅と、池尻大橋駅のちょうど中間ぐらいにある。まずは池尻大橋駅から、店へ向かう。

 

池尻大橋駅から徒歩10分ほどで到着した。時刻は11時30分ごろ。周囲は花見客とスタバ見客で賑わっており、このために警備員さんが3人ほど駆り出されていた。大変である。

Twitterの情報だと店の周りに並ばないといけないような書き込みもあったが、実際には、店の隣にあるスペースで、QRコードを読み込むと簡単に発券できるシステムになっていた。客が並ぶのを避けるために並ばせるのも意味がわからないので、確かにこれは良いシステムだなと思った。

お店の人は240分〜300分待ちとアナウンスしていた。某夢の国のアトラクション並みである。ちなみに筆者はそこで500分待ちを観測したことがある*2ので、ぎりぎり怯まなかった。

発券すると、大凡570組待ちと表示された。少し怯んだ。自分の番号が1020番くらいで、半分以上の人がまだ呼ばれていない。おそらく一生のうちにこれ以上の街列を観測することはないだろう。

 

幸い、近所に用事があったのと、渋谷に行きたかったため、ひまつぶしの用意はたっぷりあった。時間的にちょうど夜のテラスが取れるかな、という呑気なノリで一時撤退。

物見遊山

用事を済ませた後、渋谷へ。

最近は渋谷に行くこともめっきり少なくなった。

ロースタリー東京からまっすぐ歩くと30分くらいで着くだろう。多分待ち時間を潰すには東京がちょうどいいと思う。

 

タワーレコードでCDでも漁るか、と歩いていると、こんな場所が。

かっこいい。

神椿さんの動向はあまり追っていなかったのだが、気になっているボカロPさんもいることだし、と思い店に入ってみることにした。

後々わかったのだが、この催しの本質は2階で行われているイベントであり、自分が行ったのは物販スペースだけだったらしい。

 

prompt-alpha-u.kamitsubaki.jp

 

イベントの方に行くのはチケットが必要なのだが、これを調べた時に、よもやチケットが必要な場所に入り込んでしまったのではないかと血の気がひいた。チケット確認なんてされてないし。

ちゃんと書いていないのだが、物販スペースはフリーで入れたらしい。無罪である。

 

物販スペースだけでもかなり愉しい。特に、普段は通販でしか取り扱っていない神椿さんのCDが大量に積まれている様は圧巻であった。自分もコンピを2枚買った。メンツの豪華さの割に安かった気がするのでかなり良い買い物をしたと思っている。

 

↓買ったやつ

youtu.be

youtu.be

 

こういうのに出会うと渋谷って良いな、と思う。

たわーれこーど

タワレコにも行った。

ちょうどプロセカのシングル発売日だったらしく、ほしい曲でもあったので買ってしまった。色々逡巡したがとりあえずプロセカを2枚買い、撤収……

 

と思いきや。

渋谷のタワレコには、デモ音源を無料で配布するためのCDというものが置かれている。

 

↓これ

youtu.be

 

ここに以前から気になっていた「十五少女」の曲が収録されていたので、衝動買いした。無料なので「買い」ではないのだが。

大量に持っていかれるのを防ぐためか、レジを通すシステムになっていた。これも良いシステムである。

レジで袋をまとめてもらうときに、先ほど買ったプロセカのCDを乃木坂46のCDと間違えられ、ビラをもらいそうになった。帯がパステルカラーだったからであろう。

今思うと、素直にビラをもらっておくべきだったのかもしれない。

帰還

スタバは回転が早い。

経過を見ていると、50人や100人くらいの単位で、自分の順番が迫ってきていた。240分待ちとなっていたが、意外と早く自分の順番が回ってきそうである。

 

昼ごはんを済ませ、池尻大橋経由でロースタリーへ戻る。池尻大橋にある目黒天空庭園で休憩しつつ向かうと、ちょうど良い時間になった。14時30分ごろ、約200分待ちで入店*3

入店してまっすぐ、3階にあるテラス席整理券端末へ。意外とここも並んでいなかった。しかしそれは、予約が大方一杯だったからである。もう枠はないか、と思ったが、辛うじて19:15〜の枠が空いていた。

店員さんに「遅い時間ですが大丈夫ですか?」と言っていただいた。ここの店員さんは皆優しい。

 

11:30から、7時間45分。465分待ちである。

 

すごいぜスタバ。

なお、テラス席の整理券取得後は、一時退店が認められる。整理券を無くさないようにしよう。

花開いた今を言葉如きが語れるものか

花見

流石に時間が空きすぎるので、一度家に帰ることにした。

ロースタリー東京から目黒川を降り、目黒駅へ向かう。やっと、目的の花見である。

 

前日に雨が降っていたが、桜はまだ満開であった。ちょうど散っていく時期で、ハラハラと落ちる花びらがとても美しい。流石に人もたくさんいたが。

いや、本当に美しい風景だった。写真が上手くないことをここまで残念に思うことはないだろう。今年はもう無理かもしれないが、是非来年にでも足を運んでほしい。

 

割と綺麗に撮れたと思うものをいくつか載せておこう。

めぐろがわ

中目黒駅。電車との共演もよろし。

水面の紋が綺麗

 

天気も良く、まさにお花見日和だった。言葉に言い尽くせない美しさとはこのことだと実感した。

↓タイトルから察せるかもしれないが、これを聴いてました

youtu.be

花曇り?

目黒から熟睡しつつ帰宅し、一時間ほどだらだらして家を出た。

 

家を出ると、雨が降っていた。

 

確かに、天気予報は曇りであったし、物によっては雨と書いてあることもあった。本当に降るのか。俄に雲行きが怪しくなった。二重の意味で。

テラス席というのは、ご想像の通り屋外にあるので、悪天候では閉鎖されることもある。これだけ待って、テラス席に行けないとなると悲惨である。

 

物は試しである。とりあえず行ってみることにした。

 

ルートとしては先ほどの逆順、目黒から川を登っていく。

夜になると、小雨が降っているにもかかわらず、人が増えてきた。実際綺麗である。クリスマスイルミネーション行脚演習をしていてよかったなと思った*4

一人で桜の中をずんずん進んでいくのは、滑稽もしくは不審だったと思う。おそらく後者寄りであろう。

 

相変わらず桜は綺麗であった。

夜桜っていいよな

19時ごろにロースタリー東京に到着。店員さんにもやや混乱が見られたが、テラス席の整理券を見せれば入店はできる。

流れる涙場所でお茶しませんこと?

退紅トレイン

唐突だが、『退紅トレイン』という曲がある。「神山羊」名義でも活躍されているボカロP、有機酸さんのデビュー曲であり、自分もかなり気に入っている曲だ*5

 

↓いい曲なのでぜひ聴いてみてください*6

youtu.be

 

この曲には「聖地」が二つある。どちらも、歌詞の中で明確に言及されている土地だ。

 

一つ目は、京都。

京都に行ってお団子食べて

という歌詞がある他、MVに使われている写真は京都・蹴上付近にある「ねじりまんぽ」というトンネルのものである。

自分で行って撮ってきたやつ。

 

そしてもう一つが、中目黒である。

中目黒はまだまだハイカラですこと

がその歌詞。

この曲がきっかけで、自分は中目黒に強い思い入れを持つようになった。冒頭の「目黒に行くことになった」理由はこれである。

また、「退紅」という単語。「あらぞめ」と読むのだが、くすんだ桃色の、伝統色である。これはちょうど三色団子のピンクの部分、そして桜の色に類似しており、この曲が好きな身にとって、桜の季節に中目黒に行くというのはとても意義深い行動なのである。

流れる涙場所で

話を戻そう。

 

ロースタリー東京は、主に4つのフロアに分かれている。

1階は、いわゆる「スタバ」っぽい、コーヒーがメインのフロア。もちろん扱っているメニューは普通のスタバとは異なる。また、パン屋もあり、コーヒーとパンを一緒にいただけるという贅沢な場所だ。

2階は、お茶をメインとしたフロア。スタバでは紅茶も取り扱っているが、ここではより多様な紅茶を楽しめるだけでなく、なんと抹茶ラテまで取り扱っている。石臼でお茶を挽く様子も間近でみることができる。

3階は、バー風のフロア。1階のようなコーヒーメニューの他に、アルコールも提供している。席の予約もできるらしい。

4階は主に客席だが、機械などが色々置いてあって面白い感じになっていた。

 

当初1階を利用するつもりだったが、ドリンクとフードを組み合わせてオーダーする方法がわからず、どちらも同じカウンターでできる3階へ行くことに。

なかなか緊張した。

メニューについては、上記のリンクに色々あるので見てみてほしい。自分は、スピリットフリーカクテル*7の、シネマカプチーノとティラミスをオーダー。割と迷ったが折角なのでいいものを嗜もうと思った。

無粋なのでここには書かないが、それなりにいいお値段した。気になる方は公式サイトをチェック*8

20分くらい待ち時間があります。

 

さて、お忘れのことと思うが雨が降っている。店に来るまでは小雨だったが、オーダーを終えると本降りになっていた。

よぎる不安。

さらに、テラス席の方では店員さんが忙しそうにしている。余計に不安を募らせた。やや泣きそうだった。良いスタバなのに。

 

ものを受け取り、4階へ。

 

テラスは……

 

使えました。

 

屋根側の席が使えるらしい。川からは少し遠ざかり、桜はやや見づらいですが、ここまで待って行けないよりはうんとましです。

 

早速、いただきましょう。

本日私がいただくのは……

テラスからの眺め

4階となるとやや遠いので、選択の余地がある場合は3階席をお勧め。

 

お味の方ですが、単刀直入に言います。マジで美味しかったです。

シネマカプチーノはコーヒーの味を三種類から選ぶことができ、自分はビターなものを選択しました。キャラメルベースのカプチーノですが、キャラメルの甘さとコーヒーの苦さが上手く調和していて素晴らしかった。後味や残る香りも本当に豊かで、満足いく逸品でした。

ティラミスもくどくなく、そこそこ大きかったですがさくっと食べられました。コーヒーとの相性も良かったですね。

 

ただし、一つだけ問題が。

寒い。結構寒い。春とはいえ、雨が降るとそこそこ冷え込む。温かい飲み物にすれば良かったな〜でも美味いな〜とおもいながら過ごしていた。

 

こういうところでは読書をするのが筋なのだろうが、少しだけ音楽を聴くことに。色々考えて、先ほど出ていた『退紅トレイン』を聴いていた。

流れる涙場所でお茶しませんこと

という歌詞が、まさに自分の境遇とぴったり。

中目黒はまだまだハイカラですこと

席は90分使えるのだが、流石に寒かったので40分ほどで退散。お店の中を見て回ることに。世界に6店舗しかないとなると内装もとても豪華。

ギラギラしてる

割とメカメカしい、一つの工場みたいな内装をしている。

 

あまりにも寒かったので、1階でホットチョコレートをテイクアウトして帰った。ちなみに傘を持ってきていなかったのでずぶ濡れである。電車に乗るのが憚られるくらい濡れた。

明かりが消えても綺麗。スキがないね。

帰りは中目黒から撤収。長い一日が幕を閉じた。

 

と思ったら、六本木での乗り換え途中に謎のオブジェが。

ごつい。

夜の閑散とした小綺麗なオフィスビルにこれがドンとあると、さながらRPGのボス戦みたいだった。迫力ある。

まとめ

感想

東京で花見をするにはそれ相応のエネルギーと時間とお金が必要だと痛感した。少なくともどれか一つは必要である。総じて良い経験ができたし、満足な一日であった。

桜は本当に綺麗だった。自分は花見というものがそんなに好きな人間ではないが、桜を讃える気持ちがかなりわかった気がする。それくらい美しい風景だった。人が多かったことだけが難点である。

のちの人のために

  • 目黒川で花見がしたい、という目的であれば、池尻大橋駅〜ロースタリー東京の区間、もしくは目黒駅付近が割と空いている。特にロースタリー東京〜中目黒駅はかなり混むので、避けた方が良いと思う。
  • 桜シーズンにロースタリー東京に行こうと思っている人は、暇つぶしする場所に見当をつけておこう。渋谷というのは割と良い選択肢だったと思う。屋台なども出ているが、混んでおり、目黒川近辺で暇潰しをするのは賢明ではない。
  • いいテラス席を抑えるためには、正直開店直後に行くのが最も賢明。かなり並んでいるらしいが。10時くらいだと3階席は厳しいと思う。入店は時間が選べないが、テラス席は時間が選べるので、それを加味して予定を立てれば良い。

 

以上です。割と楽しかったのでおすすめ。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

出典

『春泥棒』/ヨルシカ

『退紅トレイン』/有機

*1:後述するが、呼び出しの時間に店に辿り着けさえすれば、別に店の近くで待っていなければならないと言う制約はない。

*2:出来立ての「トイ・ストーリー・マニア!」。

*3:呼出から1時間程度の遅れであれば入店できるらしいので、そこまで焦る必要はない

*4:一昨年のクリスマス当日に、一人でイルミネーションを巡った回。人の多さやカップルの多さには、ここで慣れた。

*5:YouTubeでは、『ウッドペッカーは夜泣く』が先に投稿されているが、ニコニコ動画の概要欄から、『退紅トレイン』がデビュー作であることがわかる。『ウッドペッカー』は7作目

*6:アルバム「facsimilie」に収録されているバルーンさんアレンジver.も超いいです……!

*7:ノンアルコールカクテル。モクテルの一種だと思います。

*8:記載はないですが、ティラミスは700円くらいでした。これはまあ妥当だと思う。